始動時から既に美しいと感じたエンジン色

イグニッションを回し3.2LのV6に火を入れた瞬間、全身に電気が走るかのような快感を覚えた。3.2LのV6が、実に美しいサウンドを奏でつつ始動したからだ。

試しにスロットルをあおってみると、「フォン」と実に素晴らしい響きを届ける。GTIに初めて触れた時にも「随分とサウンドにこだわったな」と思ったが、R32ではさらにそうしたこだわりに磨きがかかったと思える。

シートはスポーツシートが標準の他、レカロ&クワトロGmbHと共同開発したバケットを用意。下の写真はバケット。レザーと布の2種類があった
スポーツモデルとしては軽めのクラッチを踏んでシフトをローに入れ走り出すと、R32は次に、感触の素晴らしさを伝えてきた。

優れた機械は走り出した瞬間に分かる。R32はまさにその典型で、実に滑らかに前へ進み出す。いかにも精緻な機械が作動している感じが、極めてスムーズな印象を伝えてくる。

エンジンやトランスミッションはもちろんその先のタイヤまで、全ての作動部分がフリクションなくキレイに動く感覚。そしてスロットルを深く踏んでいくと、実に頼もしい力感とともに再び耳を心地よく刺激する音が届けられるのだ。

始動時で既に美しいと感じた音色は、エンジン回転の高まりとともに、より高らかに響きを増していく。それはまさにレゾナンス(共鳴)という言葉を連想させるもので、耳だけでなく心にまで響くほどのもの。「フォ~ン」と文字で記してしまうのが残念なほどで、個人的には現存するV6の中では最高のサウンドといってもいいほどのものだ。

これだけ美しいサウンドと滑らかさな作動を味わうと、もう本当に数値性能など「どうでもいい」と思えるほど。

VWのエンジニアに美しいサウンドの理由を聞いてみると「実は社内に昔から音作りにこだわっている人間がいて、その人間が美しいサウンドを作り上げるノウハウを今回発見し実現した。このノウハウは競合他社に知られたくないので、詳しくは話せない」とのこと。まさに秘密のサウンドがそこにあるのだ。