損害保険/損害保険関連情報

地震保険金を請求しよう

東日本大震災によって、多数の世帯がマイホームや家財に損害を被りました。地震保険金の請求にあたり、注意したい点やポイント、今回の震災で損保業界が設けた特例措置などをまとめました。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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まずは損害が生じた旨、契約損保会社に報告を

地震により損害が生じたなら、まずは契約先の損保会社へ速やかに連絡しましょう。第一報を入れるのは、火災保険及び地震保険を契約している代理店でもいいですし、震災後に損保各社が地震被害への対応窓口として設けたフリーダイヤルでもいいでしょう。現在、各社のHPには、おおむねトップページに連絡先が掲載されています。保険金の支払い対象になるのかどうかがわからない場合も連絡をして契約内容を確認しましょう。

どの保険会社で契約しているかわからなくない人も少なくないかもしれません。保険証券がなくなっているケースも少なくないでしょう。それでも契約は有効ですから心配は要りません。この点に関し、損保業界は今震災の被災者について特別の体制を整えています。その1つが日本損害保険協会の「地震保険契約会社照会センター」の開設です。地震保険の契約先が分からない場合、ここに連絡をすると契約している損害保険会社を調べてくれ、契約があれば契約損保会社から連絡がもらえます。ただし現在では、損保各社に連絡をした場合でも同じように調べてもらえるようになっていますから、まずはどこでもいいので連絡をしてみるといいでしょう。連絡先は以下です。

地震保険の契約先が分からない時の連絡先

地震保険の契約先が分からない時の連絡先

連絡が困難な状況では急ぐ必要はありません。保険金の請求期限は被災時から3年ですから、まだ時間はあります。保険期間中に起きた事故なら保険金請求時に保険が切れていても請求できますから、心配は不要です。ただし保険金の請求にあたり損害の状況確認は必要ですから、必ず修理などする前に連絡をし、損害の確認をしてくれるよう依頼しましょう。

損保会社に損害発生の連絡をすると、その後、鑑定人が損害の確認に来ます。被った損害はまずは建物外観が確認されて「全損」「半損」「一部損」のいずれかに区分されることになっています。内部の壁がひび割れるなど、外観だけで分からない損害があるなら、遠慮せずに申し出ましょう。鑑定人が気付いていない損害があるなら率直に伝えてみましょう。損害の見落としがあれば損害区分が変わり、受け取る保険金が変わってくる可能性があるからです。あらかじめ自分でも損害箇所を確認しておいて、さらに鑑定人が来たら一緒に確認をしていくといいかもしれません。
 

保険金を早く払うための損保業界の今震災への取り組みも

巨大被害をもたらした今震災では、損害保険業界をあげて、できるだけ早く契約者に保険金を支払うための取り組みもなされています。その取り組みは2つで、「全損地域の認定」と「自己申告に基づく書面調査」です。

「全損地域の認定」とは、航空写真・衛星写真を用いて被災地域の状況を確認、津波や火災によって壊滅的な被災を受けた街区(市街の一区画、ブロック)を「全損地域」として認定、当該地域に所在する地震保険契約をすべて「全損」として認定するものです。該当する地域なら通常必要となる個別の鑑定を受けずに保険金が支払われるのですから、支払いまでのスピードは確実にアップするはずです。「全損地域」として認定された地域は、追ってホームページ上で情報を公開されるもようです。

「自己申告に基づく書面調査」とは、損害を被った木造建物や家財の損害調査で一定の条件に合致する場合に、本人の承諾のもと、契約者の自己申告に基づいた書面調査を行うことです。該当する場合、契約者自身で書類を調えることで、鑑定人を待つことなく請求ができます。条件は下記のとおりです。
 
自己申告に基づく書面調査の条件

自己申告に基づく書面調査の条件


全損地域、自己申告の書面調査のいずれについても、自分の契約が該当しているかどうか、まずは地震保険を契約している損害保険会社に確認しましょう。

 

今回の地震建物が滅失。保険金を受け取れるなら請求を、受け取れないなら解約を

今回の地震、津波等が原因で住宅やクルマがなくなってしまった場合には、保険金を受け取れるかまずは確認し、受け取れるなら請求を、受け取れないなら解約をしましょう。解約する場合、災害発生日から満期までの保険料は返還されることになっています((社)日本損害保険協会「災害発生時から満期日までの取り扱い)。保険証券などが手元になくても手続きができます。

流失・全壊したクルマの自動車保険については、「中断証明書」を損害保険会社で発行してもらうといいでしょう。この証明書があると、今後10年以内にクルマを買った場合に現在の割引率が適用されます。必要がなければ解約しましょう。クルマが原発事故に伴う立入禁止区域内にあるなどの事情によって使用不能となって解約する際も同様に「中断」の手続きができます。

保険の継続手続きが必要な人でも、それどころではない人もいるでしょう。そこで今回の震災およびその後断続的に発生した地震で被災された人の契約については、損害保険の継続手続きおよび保険料払い込みについての猶予が受けられる特別措置が講じられ、2011年9月末までに手続きをすれば、その間も保険の効力は失われません。特別措置の対象には、今回の地震で発生した福島第一原発事故での被災者も含まれます。

【関連リンク】
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(社)日本損害保険協会 「このたびの地震に被災された皆様へ」
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(社)日本損害保険協会 災害発生時から満期日までの取り扱い
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