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任天堂岩田社長の語る危機感とは(3ページ目)

2011年3月2日にサンフランシスコで行われたゲームデベロッパーズカンファレンスで、任天堂の岩田社長が行った講演がゲーム業界で話題になっています。それは、スマートフォンや、ソーシャルネットワークのゲームに対するある指摘でした。岩田社長の講演では、それらのプラットフォームは、ゲームに高い価値を必要としていない、というのです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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危機なのか、チャンスなのか

3DSとiPhoneとゲーム開発者の図

選択肢が増えた分、ゲーム開発者はそれぞれのプラットフォームが持つ意味についても、考える必要がありそうです。(イラスト 橋本モチチ)

ゲーム業界はずっと、たくさん売れるゲームソフトこそが最も強い力を持つと信じてきました。ハードが魅力的だからゲームが買われるなんてことはありえない、ゲームが遊びたいからハードが買われるんだと、事実今までのゲーム専用機の多くがそうやって売れています。ゲームこそが主役でした。

しかし、iPhoneをはじめとするスマートフォンや、ソーシャルネットワークにおけるゲームというのは、必ずしもそうではありません。ハードウェアや、あるいはコミュニティの価値が先にあって、その価値によって集まった人にゲームが売られていきます。そこでのゲームは、脇役でしかありません。

今回、ゲーム開発者が集まるイベントで、岩田社長はそこに危機感を訴えました。「私たちは、お客様にどうしてもソフトの高い価値を認めていただきたい」と。任天堂という、常に自分のプラットフォームを展開し、ゲームコンテンツで勝負し続けてきたゲームメーカーのトップらしい考え方だと言えるかもしれません。

しかし、そうではない開発者がたくさんいることも事実です。任天堂の真逆の立場で、そもそもゲーム専用機に参入できる規模を持たない開発者というのもたくさんいるはずです。そういった人達には、むしろiPhoneのようなプラットフォームこそ、ゲームの枠を広げて、価値を高める可能性のあるものに思えるでしょう。

ゲームというものがゲーム専用機だけのものではなく、色んなところに使われるようになってきています。それ自体は歓迎するべき、素晴らしいことでしょう。

ゲームとプラットフォームの関係、ゲームとユーザーの関係にも大きな変化が訪れているようです。必ずしもゲームが主役ではないというプラットフォームも、増えていくのかもしれません。それは危機なのか、チャンスなのか。ゲームを作る全ての人は、それぞれに答えを出して、取り組んでいかなければいけないのかもしれません。

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