「恋愛のゴール」=「結婚」という幻想
かつて結婚は、恋愛とは無縁のものだった
恋人たちにとって、相手との関係が「特別」であることを確認し、その状態を可能な限り継続させたいと願うのは自然な感情でしょう。相手に依存するつもりはなくても、自分たちの愛や関係が長く続くような何か証明や保障が欲しい。それが結婚だと多くの人が思っています。
そして、結婚すれば、二人の愛や幸せな状態が永遠に保障されるのではないかという期待を持ち、ただの同棲とか、ただの付き合いとかではない高次元のところにいきたい。多くの人に祝福され、承認されたい。そんな風に願うものです。
しかし、そういう願いは、現実では、どうなるのでしょうか?
それを考察するために、まず、結婚というものを歴史的に見てみましょう。結婚の最大の理想と幻想―四位一体幻想―の回でも述べたように、結婚と恋愛は、元々は別の要素でした。結婚は、当人の意思より、親や親戚によって相手や時期は決められ、近代になるまで、結婚の理由に恋愛の要素は、ほとんどありませんでした。
日本でも、一昔前までは、お見合いによる結婚が主流でした。いわゆる「恋愛結婚」が「お見合い結婚」を上回ったのも1965年から。そして、「恋愛のゴールが結婚」という観念がより強固になっていきました。
一方、恋愛の相手と結婚を前提にした相手とは違うという見方や「結婚は恋愛の墓場」だという意見も古くから耳にします。
では、現代、「結婚は恋愛のゴールである」という願望を盲目的に信じると、どういう弊害が生じるか考察してみましょう。