BCGとは…結核を予防するBCGワクチンの効果
赤ちゃんの予防接種のスケジュールは小児科医を相談の上、早めに立てるようにしましょう
BCGは「Bacille(桿菌といって菌の形) Calmette-Guerin(人名)」の頭文字を取って呼ばれています。フランス人のCalmetteとGuerinは、ウシにしか感染しない結核菌(ウシ型結核菌)を分裂させていくことで、菌の孫のそのまた孫を作ってどんどん世代を経ていき、少しずつ毒性を減らしました。そして13年後に、ヒトに感染しても結核を全く起こさない菌を作り出すことに成功したのです。
1921年にフランスにて世界で初めてBCGが使われ、効果が証明されました。日本では1924年にBCGが入ってきて、日本人での効果と安全性が検討され、1943年に日本での予防効果が証明され、一般的に使われるようになりました。
子どもは重症化リスクがある結核……粟粒結核、髄膜炎など
結核は結核菌という細菌によって起こる感染症で、空気感染します。結核菌が身体の中に入ると、10~15%の人は1~2年のうちに発病しますが、多くは体内に留まって潜んでいる状態になります。身体の抵抗力が落ちると結核菌が活動し、発病します。結核菌は主に肺で増えますので、咳、痰、発熱、呼吸困難等の症状がありますが、子どもの場合は、全身に結核菌が広がる粟粒結核や髄膜炎など、重篤になります。これを予防するためにあるのがBCGなのです。
BCGの接種時期・接種スケジュール
定期接種としてのBCGは、生後12ヵ月までに1回。生後5ヵ月から8ヵ月までに接種するのが望ましいです。ただし、結核の発生している地域では早期に接種することが勧められています。乳幼児の結核は結核菌に感染すると、極めて発病する率が高く、血液に結核菌が流れて全身に結核菌がばら撒かれる「粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)」や髄膜炎になりやすいため、それらを予防する必要があります。BCGは髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されています(Colditz et al, 1995)。
新生児期での接種可能ですが、免疫不全があれば、副作用が強くなりますので、できれば、ある程度免疫不全が無いことが判る年齢での接種が望まれます。
BCGの接種方法・子供への受けさせ方
BCGです。白いツバのついたものが管針です(日本ビーシージー製造株式会社提供)
粉になっているBCGを溶解液で溶かし、白く濁った液を上腕外側のほぼ中央部に落とし、管針にある帽子のツバのようなもので拡げます。その後、管針を強く押しつけ、針跡にBCGを植えつけるように帽子のツバのようなもので再び拡げます。紫外線を避けて自然に乾燥するまで待ちます。30分もすれば乾くでしょう。その後は、衣服を着せてください。
一般的に入浴は発熱などがなければ、構いません。
BCGの副作用・BCGの痕
じんましん、発疹などのアレルギー症状、接種部位が赤くなったり、脇のリンパ節が腫れたりします。副反応のうち、もっとも多いのが、脇のリンパ節の腫れで1/2程度を占めています(平成25年度報告では約90万人の接種で、副反応報告数は174件で、リンパ節の腫れが74件と最も多く、次いで皮膚症状が40件です)。6ヵ月後には小さくなることが多いです。まれに骨髄炎などがあります(骨炎等が発生するリスクは3,300~108回接種して1回程度と言われています)。接種部位は、10日~4週間後に、赤くなったり、硬くなったり、腫れてきたり、カサブタが出てきます。このような状態は接種後5~6週間後に強く出てきます。強い場合は、膿んだ感じになりますが、1~3ヶ月程度で治ります。気になるBCGの痕(跡)ですが、針の跡が18個のうち、2/3以上は残っていることが望ましいです。
ただし、BCGは毒性が少ないと言っても生ワクチンなので、免疫不全という免疫力がない子供の場合、BCGが全身で感染を起こすリスクもあり、注意が必要です。
骨などの炎症を起こすことがあります。皮膚に結核のような湿疹を起こすことがあります。
BCG接種で起きることがあるコッホ現象
BCG接種の跡ですが、正常なら少し赤い程度ですが、コッホ現象は10日以内に跡が目立っています。(日本ビーシージー製造株式会社提供)
この場合は、結核に罹っていないかどうか、ツベルクリン反応、血液検査など結核の検査を行います。詳しくは「子どもの結核の症状・検査・治療・予防」をご覧ください。
定期接種時期を過ぎると公費での接種ができなくなってしまうので、集団接種を受けたい場合は保健所や保健センターの日程を見ておきましょう、個別接種を受ける場合は早めに病院に予約をしておきましょう。
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