求められている言動がわからない…心当たりをセルフチェック

悩む女性

空気を読むのが苦手。みんなは自然にできていることが難しい……これって大人の発達障害?

人間関係や社会生活においては、場の雰囲気や他人の気持ちを推測しながら、その都度求められる行動を自分で判断して遂行しなければならない場面が多いものです。しかし、そうした行動をとることがとても難しく、人間関係や社会生活に困難を感じている方もいます。

こうした特性を感じつつも、大きな支障を感じずに日常生活や社会生活が送れているのなら、特段の問題はないでしょう。しかし、周囲から求められていること、やるべきことが分からずに戸惑うことばかりが増え、自信を失っている方もいるかもしれません。

たとえば、次のような状況で困った経験が、たびたび生じていないでしょうか?

  • 「相手の気持ちを想像してください」「周りに合わせましょう」「相手の顔色を見て判断してください」と言われても、どうすればいいのかよくわからない
  • 「マナーを守りましょう」「常識で考えてください」「場に応じた行動をしましょう」と言われても、どうすればいいのかよくわからない
  • 自分の考えを言っただけで、「今ここで、それを言うのはおかしい」とよく注意される
  • 「今のは冗談だよ」と言われても、何が冗談にあたるのかが分からないことが多い
  • 「たとえ話」を交えながら説明をされると、意味が分からなくなることが多い
  • 一つのことに夢中になるとあっという間に時間がたち、やるべきことが手につかないことがよくある
  • 話したいことを話し始めるとたびたび怪訝な顔をされたり、話を制止されたりする
  • 自分なりに考えて作業をすると、失敗して注意されることが多い
  • 人混みや騒音の多い場所にいると、とても苦痛で仕方がなくなる
  • 「周囲に比べて作業や仕事が進んでいない」と言われることが多い
子どもの頃からこれらの例の多くに心当たりがあり、たびたび困ったことがあったり、今も困っていたりする場合、自分の努力不足のせいではなく、脳の発達の特性に原因がある可能性もあります。

自閉スペクトラム症とは……コミュニケーションが困難でこだわりが強い

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勉強が嫌いではなく、おとなしい性格であったために、発達特性に気づかずに成長してきた方も多い

たとえば、神経発達に特定の偏りを持つ発達障害の中に「自閉スペクトラム症」(自閉症スペクトラム障害)というものがあります。かつては「アスペルガー症候群」と呼ばれていたものも、ここに含まれます。

自閉スペクトラム症とは、社会的コミュニケーションと対人的相互反応が難しく、行動や興味の限定された反復的な様式を特徴としています。人との会話や非言語的なやりとり、人間関係の発展・維持などが苦手、特定の物事や行動、習慣に強いこだわりがある、感覚が過敏あるいは鈍感、などの顕著な特徴を幼少期の頃から持ち、学校生活や社会生活を送る上で困難が生じるものです。

自閉スペクトラム症では、知的能力障害を伴っていない方も少なくありません。そのため、勉強が得意で学校の中でおとなしく生活してきた方の中には、学校生活や人間関係でのトラブルが目立つことが少ないため、親や教師、そして本人も発達特性に気づかずに成長している方がいます。こうした方の中には、青年期、成人期になって進学先の環境や就職先の環境にうまく適応できないことで初めて、発達障害の特性に気づいていく方もいます。

では、なぜ青年期、成人期になってから発達障害の可能性に気づくことがあるのでしょう? たとえば、大学生活や就職先の環境においては、あいまいな指示や複雑なルールの中からとるべき行動を推測したり、分からないことを周囲の人に尋ねたりしながら、物事を進めていかなければならない場面が、子どもの頃よりも格段に増えていきます。また、状況に応じて臨機応変に対応をしたり、周囲の人との人間関係を築きながら役に立つ情報を入手し、適当な段取りを考えて実行しなければならない場面も格段に増えていきます。

周囲の人はこうした状況に適応しているのに、自分はどのように行動すればよいのかがわからず、学校生活や社会生活を送る上での支障が生じていく。そして成人になってから、親や本人が「そういえば、子どもの頃から似たようなことがたびたびあった。それらも発達特性によるものだったのかもしれない」と気づく場合もあるのです。

まずは情報を集め、医療機関や相談窓口で相談を 

発達障害の可能性を感じ、学校生活や社会生活を送ることに困難を感じている場合には、自分の特性が発達障害によるものなのかどうか、自分はどのような行動が得意で何が苦手なのか、といったことを詳しく知ることによって、生活に積極的に取り入れるべき工夫、自分が必要とするサポートに関する情報も知ることができます。

そのためにはまず、自分の年齢に応じた発達障害の診断ができる医療機関を受診するのが有効です。診断できるのは医師のみですので、憶測で判断せず、医療機関で医師の診察と専門的な検査を受けることが重要です。医療機関は、地域の保健センターや保健所に問い合わせて教えてもらってもよいでしょうし、インターネットや口コミで情報を集めて、直接医療機関に問い合わせてもよいでしょう。

また最近では、各年代の発達障害に特化した書物もたくさん発行されていますし、インターネット上には発達障害を理解するためのサイトがたくさん公開されています。そうしたものを利用すると、自分に適した医療機関や相談機関の情報が見つかるかもしれません。

たとえば、国立障害者リハビリテーションセンターの「発達障害情報・支援センター」のサイトでは、発達障害を総合的に理解するための情報が公開されています。

また、地域の障害福祉課などを訪ねると、公的な相談機関・支援機関の情報を入手することができます。また、NPO、市民グループ等によるさまざまな支援活動も増えています。相談できる場所は必ずありますので、まずはぜひ情報を集めてみてください。
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