ブルージュきってのロマンティックスポット、愛の泉

白鳥が佇む姿はブルージュの風物詩

白鳥が佇む姿はブルージュの風物詩

愛の泉にまつわる言い伝えも

愛の泉にまつわる言い伝えも

旅行ガイドやパンフレット用のキメ写真としてよく登場するのが、この愛の泉周辺の風景です。純白の白鳥たちがゆったりと羽を休め、新緑や歴史的建造物の影を反射させるロマンティックな湖には、朝晩を問わず散歩者たちが後を絶ちません。恋人たちにとっては絶好のデートスポットでしょう。ちょっと愛の泉という名前が出来過ぎな感もありますが、それもそのはず、実は誤訳から広がっていった名称なのです。

この「愛の泉」を現地では「Minnewater」と呼びます。「Minne」にはもともと古いオランダ語で「愛」と「共有」のふたつの意味が。そしてこの湖には、もともと「共有の水」の方の意味で使われていました。ところが外国語に訳された際に誤訳で「愛」の意味で訳され、観光業者もせっかくだからと、そのまま意図的に使っていったようなのです。しかし嘘から出た実(まこと)といいますか、今ではこの呼び名こそがぴったりとしか思えないですね。 

ちなみにロマンティックな景観から、愛の泉を舞台にした伝説まで誕生しました。社会の掟に阻まれて結ばれなかった若い男女が、最後に湖に身を投げて心中するという、ロミオとジュリエット顔負けの悲恋の物語だということです。ブルージュ観光局の人自らが、「ちょっとこじつけっぽいわね」と笑って教えてくれました。さらに願いがある人は、この愛の泉に思いを込めてコインを投げると叶えてくれるともいいます。信じる者は救われる、とうことで試してみる価値は大いにありますよ。

?D. de Kievith_Toerisme Vlaanderen

優雅な白鳥(c)D. de Kievith_Toerisme Vlaanderen

そしてもうひとつ、愛の泉のイメージをちょっぴり壊しかねない、白鳥にまつわる有名な逸話もあります。市民に圧倒的な人気を得ていたブルゴーニュ公女マリーが、落馬による事故で夭折した後、旦那であるハプスブルク家の皇帝マクシミリアンが後継者の座につきました。ところがもともとよそ者の彼は、あまり市民に人望がありません。ほどなく彼がブルージュを神聖ローマ帝国に無理に組み入れようとしたことが市民の感情を逆なですることに。

ついに1448年、怒りにかられた市民たちは、大胆にもマクシミリアンをマルクト広場に面したクラーネンブルクの館に幽閉してしまいます。そして彼の臣下たちが処刑が行われる様子を窓から見るように強制したのです。その中には彼の忠実な代官であったピエール・ランシャルの姿も。その悪夢のような経験の後、権力を取り戻したマクシミリアンは、ブルージュ市民に対する罰として、彼らが行った冒涜を永遠に忘れさせないようにと、臣下ランシャルの家紋であった白鳥を、湖にたくさん放ったのだといいます。こうして今でもブルージュの町には白鳥たちが泳いでいるのだと伝説は伝えます。なかなか粋な罰ではありませんか。

純白でイノセントな外見とは裏腹に、そんな少々血生臭い曰くつきの白鳥さんではありますが、彼らがのんびりと泳ぐ愛の泉の、優雅で美しい光景に、偽りは微塵もありませんよ。

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■Minnewater(愛の泉)
住所:Wijngaardplein
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