ブルージュの旅の起点、マルクト広場
切妻屋根が可愛らしいギルドハウスが並ぶ
カリヨンの音色を響かせる鐘楼塔
古都ブルージュを訪れる誰しもが一度は通るであろうマルクト広場。朝から晩まで、観光客がひっきりなしに訪れる活気溢れる場所で、ブルージュ名物でもある観光馬車のひずめの音が優雅に響き渡ります。わかりやすい町の中心に位置し、観光の起点にしても便利でしょう。石畳が広がるほぼ四角形の敷地の広さはおよそ1ヘクタール。毎水曜の朝に市が立つのも千年以上続く伝統です。中世の昔日には馬上の試合や宗教行事、さらには死刑執行も行われました。1488年には、広場西方の館に皇帝マクシミリアンが幽閉され、腹心の部下たちの処刑現場を見させられたとされます。
世界遺産に指定される鐘楼塔は空高くそびえ、特に夜のライトアップは見とれるほどに美しいもの。広場を囲むように立ち並ぶ階段状の切妻屋根を持つギルドハウスは、北海交易で財を築いたハンザ商人たちによる富の象徴。封建時代に国際商業都市として大いに栄えたブルージュの繁栄を刻むものなのです。とはいえ、これ見よがしの成金主義な印象はあまりなく、童話の世界を彷彿させるとんがり帽子風の可愛らしいヨーロッパ建築には心が躍ってしまいます。鐘楼塔を前にして左側には、ネオゴシック様式の白い州庁舎があります。
1887年に建立の英雄の像も
広場には、実在した町の二人の英雄、知性派のピーター・ド・コニングと肉体派のヤン・ブレーデルの像がフランスの方角を睨むように勇ましく建っています。彼らは1302年にフランスの支配に対して市民が蜂起した「黄金の拍車戦争」の際のリーダー。しかし一説によると、ブレーデルの貢献には疑問の声もちらほら。実は戦争の混乱に乗じて、肉や武器の売買で私腹をこやそうとしていた人物だったと指摘する人も。真実は薮の中ではありますが、像となって市民を堂々と見下ろす姿はなかなか貫禄がありますよ。
鐘楼塔から世界遺産の絶景はいかが?
世界遺産の町並みを眺める
健脚でなくても、せっかくなら頑張って登ってほしいのが高さ83mを誇る鐘楼塔。366段の螺旋階段を登りきれば、ご褒美のように赤茶の屋根が風情溢れるブルージュの旧市街が眼下に広がります。塔は中世フラマン人の“自由と権力のシンボル”として建立されたもの。13世紀から基礎部分の建立が始まり、頂上にある八角形の塔は15世紀に完成。世紀を超えて徐々に完成されました。塔の中間部分には宝物殿がありますが、やはり一番の宝といえば、15分ごとに美しい音色を響かせるカリヨンそのものでしょう。47の鐘が合わさった組み鐘で、その仕組みはオルゴールを思わせるものです。
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■Belfort(鐘楼塔)
住所:Markt 7
開館時間:毎日9:30~17:00
入場料:6ユーロ