VW(フォルクスワーゲン)/トゥーラン/シャラン

日本製ミニバンに濃厚なドイツ色で挑むシャラン(3ページ目)

フォルクスワーゲンでは、ゴルフ・トゥーランに続くミニバンとなるシャランは、TSI+DSGという独自の武器に加えて、アイドリングストップ機構や高い安全性、充実の安全装備を満載したフルサイズミニバンだ。アルファードやエルグランドなど、ガラパゴス・ミニバンに挑むその実力は?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

ライバルと比べてどうか

サードシート乗降性

サードシートへの乗降の良さも魅力だ。座面が前に少し跳ね上がるようなセカンドシートのウォークイン機構は、他車にはないオリジナリティを感じる。サードシートは見た目は狭いが、座ってしまえば大人でも実用になる
 

ハンドリングに関しては、アルファード/ヴェルファイア、エルグランド、エスティマよりも正確でスポーティな仕上がりだ。しかし、オデッセイやスバル・エクシーガよりもアドバンテージを築いている印象は薄い。アルファードやエルグランドなどの背高系は、スポーティさよりも静粛性などに配慮しており、いかに高級感を抱かせる走りができるかに重点が置かれているから、指向が違うとしかいいようがない。かつてのクラウン、いまではレクサス辺りと同じように、「分かりやすい高級感」という意味では、インテリアの眺めも含めて日本勢に軍配が上がる、と感じる人が多いだろう。

逆に、国産ミニバンに物足りなさを感じている人は、硬質な走りや本物感漂うインテリアに惹かれるはずだ。もちろんケタは違うだろうが、十分に勝負できる才能の持ち主であることは間違いない。

均等に分けられた2列目をどう考えるか?

セカンド、サードシート両方ともフラットに格納できる。サードシートの格納方法も工夫が感じられるが、戻す際は車内側に戻るしかない。荷室側から全自動で格納できたり、片手で簡単に跳ね上げできたりする日本勢ミニバンと比べると、ツメの甘さを感じさせるシーンも散見される

セカンド、サードシート両方ともフラットに格納できる。サードシートの格納方法も工夫が感じられるが、戻す際は車内側に戻るしかない。荷室側から全自動で格納できたり、片手で簡単に跳ね上げできたりする日本勢ミニバンと比べると、ツメの甘さを感じさせるシーンも散見される
 

サードシートの広さはアルファード、エルグランドには及ばないが、オデッセイやエクシーガよりも少し上に感じた。ただし、セカンドシートは、欧州ミニバンではお馴染みの「平等」に3分割されたタイプ。両サイドの席は、国産ミニバンのように幅広のゆったりしたシートではない。幅が狭いシートであることは明らかで、心地よい座り心地とはいえない。子どもや細身の女性が座るなら問題ないだろうが、平均身長くらいでも2列目に大人の男性が座ることを想定しているなら、チェックしておきたいポイントだ。ただし、2列目に3人掛けをする機会が多いなら、逆に魅力ともいえる。

走りや使い勝手など、シャランが日本勢ミニバンに圧倒的、決定的な差を築いている点は正直感じられなかったが、クルマの基本性能やマジメな設計や安全装備の充実具合はヒシヒシと伝わってくる。こうした点を「買う」ことができる審美眼の持ち主ならシャランを選ぶだろう。しかし、国産ミニバンのガラパゴス化も悪くない。とくに、使い勝手においては一日の長があるのを感じた。
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