“ガラパゴス化”した市場に挑む

フロントビュー

379万円のシャランTSIコンフォートラインには、9つのエアバッグやESP、全席3点式シートベルトなど、「フルコース」といえる安全装備が用意される。438万円のTSIハイラインには、フルの安全装備に加えて、リヤビューカメラ、バイキセノンヘッドライト、レザー&アルカンターラシートなどの充実装備を用意。両グレードともに、安全装備の充実ぶりが日本勢よりも際立っている
 

フォルクスワーゲンのミニバン・シャランが復活を果たした。初代はフォード・ギャラクシーと兄弟車の関係にあったが、今回はフォルクスワーゲンの専用モデル。ボディサイズは全長4855×全幅1910×全高1750mmで、1.4LのTSIエンジンを搭載する。スーパーチャージャーが主に低速域を、ターボが主に中間から高速域を受け持ち過給する自慢のダブルチャージャーだ。

ライバルはアルファード/ヴェルファイア、エスティマ、エルグランドなど、いまや各メーカーの大黒柱といえる、日本のLLクラスミニバン。もちろん、販売台数的にはケタが違うが、少しでもこのクラスでシェアを奪おうという意気込みは十分だ。しかし、日本のミニバン市場は国産ミニバンの独壇場。“ガラパゴス化”と言っても過言ではない独自の指向や価値判断基準がある。

ミニバン“ヒット作”の定石

リヤスタイル

TSIコンフォートラインは16インチ、TSIハイラインは17インチを装着。両グレードともにアイドリングストップ機構を備える。ミニバンでは装着率の高いパノラマスライディングルーフもオプションで用意し、パークディスタンスコントロールは全車に標準装備する
 

まず、シャランが属するLLクラスだが、「ヒット作」になるかならないかの分水嶺として、意外かもしれないが、デザイン、特にフロントマスクの押し出しの強さが重要だ。先代エルグランドがアルファード/ヴェルファイア陣営の後陣を拝したのは、走りなどのハード面や使い勝手などのアメニティだけではなく、端的に言えば「アクの強さ」や「格の違い」をユーザーが敏感に感じたからだろう。

ホンダ・エリシオンが苦戦しているのも、中途半端なボディサイズだけではなく、コワモテとはほど遠いデザインにも大きな要因がある。実際に、新型エルグランドはやりすぎない程度にとはいえ、十分なコワモテ系として、CMでも「KING」を名乗っている。

ミニバンにおいては、車内空間も大事な要素。オデッセイのように、顔つきも走りも特徴がありながら、ランキング20位以内の常連になれないのは、「天地方向の空間」が狭く感じるから。5ナンバークラスのセレナ、ステップワゴン、ノア/ヴォクシーの3強がしのぎを削るMクラスでは、限られたサイズで少しでも容量を大きく取ることがヒットの法則だが、大きなLLクラスであってもヒットには欠かせない要素なのだ。

こう考えると、シャープな顔立ちに全高を抑えたシャランは分が悪い。そこで、シャランの強みとして挙げられるのが“走り”だ。国産ミニバンとは違った面で勝負しようという狙いなのだが、果たしてどうでるか?

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