雇用保険の概要
雇用保険は、失業時だけでなく在職中の給付も充実しています
雇用保険は、国が運営している制度。昔、法律の名称が失業保険だったことから、いまだに失業のための保険と捉える方が多いことでしょう。
現在の雇用保険は、失業した際の収入補填だけではなく、失業の予防や雇用機会の拡大、労働者の能力開発など、雇用対策を実現するための総合保険制度になっています。育児休業や介護休業をした場合、60歳以上の従業員の給与低下分を補填する雇用継続給付など在職中の給付内容が充実しています。またこの給付金は法律改正などがよくされます。注意しておきましょう。
雇用保険の各種給付内容
雇用保険での給付内容を押さえます。特に、在職中の給付である雇用継続給付については要チェックです。■求職者給付
失業した場合の次の職場に採用されるまでの生活補填費です。
・基本手当
一般的にいう失業手当のこと。正式には基本手当といいます。支給される額、支給期間などは在職した会社での勤務状況で変わります。住所地のハローワークで4週間に1回づつ失業の認定を受け受給します。
・技能修得手当
次の仕事を探すため、技能習得をサポートしてくれる仕組みがあります。その際、公共職業訓練などを受講した日に日当が支給されます。また、訓練施設に通うための通勤手当も支給されます。
・寄宿手当
公共職業訓練などを受講するため、同居の親族と別居して寄宿する場合に手当が支給されます。
・傷病手当
病気やケガの場合、就職できないため基本手当に変わるものとして支給されます。
■就職促進給付
早期の再就職を援助する制度です。
・就業促進手当
再就職が早く決まり基本手当をまだもらい終わっていない場合、一定額が支給されます。いわゆる早期就職お祝い金のようなものです。
・移転費
紹介された職業に就くためや、職業訓練を受けるための引越し費用、交通費などです。
・広域求職活動費
仕事を探すために広範囲で求職活動をする場合の交通費などです。
■教育訓練給付
従業員の教育訓練受講費用の一部補填の制度があります。雇用保険が従業員の教育に対して費用を援助してくれています。厚生労働大臣の指定教育訓練が対象ですが、対象訓練は多岐に渡っています。IT関連(パソコンスキル)、英語検定、簿記、各種資格試験講座など。最寄りのハローワークに詳細を問い合わせしてみましょう。
■雇用継続給付
・高年齢雇用継続給付
定年後の再雇用の際に活用できます。60歳以上65歳未満の従業員が60歳時の給与より低い額で勤務する際、減額された給与の一部を補填してくれる給付金です。定年後の給与額設定には、この給付金の知識と実践が欠かせません。
・育児休業給付
育児休業中(原則として1歳未満の子を養育)の従業員の給与の一部を補填してくれる給付金。育児休業中は給与の支給がないことが通常ですから、従業員にとってこの給付金の威力は絶大です。国の子育て支援対策の1つです。
・介護休業給付
一定範囲の家族を介護するために、休業した従業員の給与の一部を補填してくれる制度。超高齢化社会なので、従業員で介護休業をしなくてはならない人も多くなってきておりニーズは高いです。
<関連資料>
雇用保険の各種給付内容
雇用継続給付
雇用保険の助成金の積極的活用
雇用保険は上記の各種給付金以外に、企業に対して助成金という支援策を用意しています。実は、雇用保険料の中にこの助成金の原資となる金額が含まれているのです。この保険料は全国の企業がそれぞれ負担しているわけですから、ぜひ積極的に活用しましょう。新たに従業員を採用する場合など、支援関連助成金が様々あります。<関連資料>
雇用保険の各種助成金