身体にすんなりとおさまる素直な味わい
店頭にはイランとトルコの国旗が。
真っ赤なシャツに短いネクタイ、ハットを身にまとった男性の朗らかな笑顔に迎えられ、店内へ入ると、正面には小さなオープンキッチンが。両脇には雰囲気のあるテーブルが4、5席あり、こぢんまりとした店ながら、小物を上手に使い、独自の空間を作り上げている。店の外からは、趣味の店という感じでちょっと入りにくいかもしれないが、入店したら意外にも落ち着けて、きっと安堵のため息をもらすことだろう。
「サバラン」では家庭料理を出す。店主であるアリさんはレストランで働いた経験を持つそうだが、ベースはお母さんの味。“まだまだお母さんの味には到底ならないよ”とおっしゃっていたが、もともと料理好きで食いしん坊、好奇心も旺盛。そんなアリさんの作る料理は、個性豊かな服装から受ける印象とは反し、身体にするりとおさまる素直な味である。
ここでぜひとも口にしたいのは、ペルシャの鍋「ディズィ」だ。鍋というよりは、シチューともいえるこの料理は、他店ではまず口にすることができないだろう。この店の看板料理といえる。