軟鉄鍛造アイアンは、3つの流れに
現在、積極的に軟鉄鍛造のアイアンをラインナップし、特徴的なのはナイキゴルフでしょう。上級者向けのマッスルバック、「VR PRO ブレード」アイアンは、限りなくタイガー・ウッズの使用するアイアンを再現したといいます。操作性が高く、ミスにはシビア。上級者が求める性能を追求しています。
「VR PRO コンボ」アイアンは、ロング~ミドルアイアンが、ミスへの許容範囲が広いポケットキャビティ。7番アイアン(日本モデルの場合)からは、肉厚の厚いスプリットキャビティ(ハーフキャビティ)にするという、番手別設計。「VR PRO ブレード」アイアンに少しやさしさとつかまりの良さを加えたモデルです。こちらもツアープロに人気とか。
「SQ マッハスピード フォージド」アイアンは、日本限定モデル。軟鉄鍛造で作られたボディに、強度の高いフェース素材をレーザー溶接したアイアンです。広いソール幅と大きくえぐれたキャビティ形状で、ミスへの許容範囲が非常に広くなっています。
飛距離が出るのも特徴で、「VR PRO ブレード」アイアンと比較すると、1-2番手程度の飛距離差があります。飛距離とやさしさに重点を置いた、これまでの軟鉄鍛造アイアンのイメージに収まらない新しいタイプのアイアンといえそうです。
この3モデルは、それぞれが現行の軟鉄鍛造アイアンを特徴的に表していると思います。
1. 上級者向けのマッスルバックアイアン
2. マッスルの特徴を生かしながら、やさしい要素を加えたキャビティアイアン
3. 異素材を組み合わせるなどして、飛距離とやさしさを追求したアイアン
現行のモデルが、この3種類に分けられると思います。
圧倒的に多いのは、2.のキャビティアイアンです。シャープでかっこよい軟鉄鍛造アイアンを使いたいが、マッスルでは難しい、と考えているゴルファーの心理をつかんでいると感じます。
また、最近の新モデルで顕著な特徴が、各メーカーが製造会社に同じ企業を採用していることです。以前から、有名なゴルフクラブ製造会社でしたが、このところ、内外のメーカーのゴルフクラブを多く手がけ、大変、存在感を強めているように感じます。
その会社は日本企業で、実際の製作は海外で行うことが多いようです。大量生産で、精度の高い軟鉄鍛造アイアンを作るには、その技量をもった製造会社は、今のところ限られてくるようです。