転職のノウハウ/転職活動の応募のコツ

経験不足を補う転職自己PRの書き方

今、「書類選考が通らない」という声が高まっている。不景気がゆえに求人案件も少ない。その上、書類選考通過のハードルまで上がっているのだから、これはきつい。一方、応募書類に目をやると、書類を埋める情報に魅力が足りないモノが目につく。要は、自己PRが不十分なのである。ただし、自己PRの強さが勝負どころではない。的を射た自己PRをすること、これに尽きるのだ。本コラムでは、その点に注目してみたい。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

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経験不足でも、あきらめないで

経験不足で実績も少ない職務経歴書でも、興味をもってもらえるような書き方ができます。新たな自己発見ができ、希望企業に採用される自己PRの書き方を紹介します。

多少の経験不足だとしても、類似した経験をしていて、本人に新しい仕事に挑戦する意欲が十分にあることが確認できた場合、十分、面接の場で評価される可能性があります。経験年数が足りないなどで、応募自体を控えるケースがたまにありますが、とてももったいないものです。

一方、類似した経験にとどまらず、足りない経験をどのように補うべきか、その対策について自分なりのプランを考えることが、人との差別化のポイントにもなります。

自分が不足しているスキル・経験を具体的にする

あなたが応募企業の募集要件と自分の経歴を見比べて、自分に不足していると感じる部分は何ですか? その中でも、とくに自分が足りない項目については、より具体的に掘り下げてみることが大切です。たとえば、会社の主要顧客を担当したことがないこと、また自ら新規顧客を開拓したことがないことなど、具体的な不足ポイントをあげてみてください。

不測スキル・経験に類似した体験を探す

その上で次に考えるべきことは、類似した経験をしたことはないかということ。つまり、自分が足りない経験やスキルに類似した経験をしていないか、柔軟に考えてみましょう。

条件を100%満たす人材はめったにいません。だからこそ、過去の自分の経験やスキルがどのように応用できるか、特に類似した経験をしている場合は、どこに共通点があるか、どのように過去の経験を応用できるかなど、あなたの分析力が試されます。相手にプラス評価をしてもらえるよう、自己PRをしましょう。

ここで3つの事例を紹介します。皆さんが自己PRを書くときの参考にしてください。

事例 1 30歳男性/500人規模の総務職に応募/転職歴なし

■状況
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実務経験はその中身が大事

500人規模のメーカーの総務職に応募。オフィス移転が決まっていて、総務として陣頭指揮にあたらなければならない。しかし、50人規模のオフィス移転しか経験したことがないため不安がある。

■PRポイント
経営の情報化が進んだ今、オフィス移転における大きな課題は、IT関連設備・環境のスムーズな移転と速やかな再稼動である。10分の1規模の移転ではあるが、自分は全社的なIT関係の担当者だったことをアピールし、特にIT関係の移転に関しては、滞りなく実行できる自信があることを強調することが得策。

■ガイドの解説
組織の規模によって、同じ移転でも必要となる業務は異なるもの。まったくオフィス移転の経験のない総務担当者よりも、この人の場合、大きなアドバンテージがあります。このため、50人規模のオフィス移転をどう成功させたかをしっかりとした上で、500人規模のオフィス移転にも挑戦し、必ず成功させたいという意欲を示せれば採用になる可能性が高いでしょう。また本人のキャリアにとっても、総務担当者として500人規模のオフィス移転を成功できたら、貴重な経験となり自信もつくでしょう。

事例 2  25歳女性/大手流通広報職に応募/転職歴なし

■状況 
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下積みの経験が評価されることもある

現職と同業界である流通大手の広報に転職を考えている。プレスリリースを書くことになるが、これまでの経験は先輩のアシスタントなので、自分自身で書いた経験はない。

■PRポイント
先輩は優秀な広報で年間200本のプレスリリースを書いており、自分はその原稿の校正を1年以上している。ここ半年は比較的簡単なリリースにかぎってだが、原稿の下書きも任されるようになった。自分の書いた下書きをほとんど先輩に直されることはないため、実質的には50本のプレスリリースを自ら書いたのに等しい経験を積んでいる。新しい会社のプレスリリースは年間70~80本と聞いているので、十分対応できると考えている。

■ガイドの解説
多忙で優秀な先輩の下で、通常よりもかなりの件数のプレスリリースをこなしてきたことは、アシスタントとはいえ、かなり貴重な経験です。自分のレベルよりも高いレベルの仕事に身近で接することは、自分の成長にとって大きくプラスのインパクトがあります。また比較的簡単なリリースとはいえ、自分が下書きを書いた経験は貴重であり、今回の転職を機会にひとり立ちしても大丈夫でしょう。

事例 3  28歳男性/外資IT企業翻訳職に応募/転職歴1回

■状況 
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未経験でも関連業務をアピール

応募企業は米系のソフトウェア会社。本社が新発売した業務ソフトのマニュアルを8ヶ国語に対応するローカライズ業務担当のエンジニアを募集しているが、自分はこれまでに英語から日本語へのローカライズ業務しか経験していない。

■PRポイント
自分が担当したのは英語から日本語という1ヶ国語のローカライズだが、英語ソフトの開発思想は前職の経験などから熟知している。ローカライズではその国の商習慣や法制度に通じている必要があるため、1年前から主要国のビジネス事情を書籍やインターネットで個人的に勉強している。さらに、自分には技術翻訳者のネットワークがあり、8ヶ国語のローカライズ業務に対応できる。

■ガイドの解説
海外マニュアルなどのローカライズ業務には、正確な翻訳力だけではなく関連業界や業務内容そのものへの理解、その商品の利用環境を広く想像し応用する力を発揮する必要があります。特殊な業務であるがゆえに、経験者の多くは即戦力として活躍している分野でもあります。この人の場合、業務内容の詳細を熟知していること、また多言語への翻訳を視野に、いろいろと勉強したり、ネットワークを広げているため、新しい会社に入っても、とても重宝される人材になる可能性が高いと思います。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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