人事の履歴書の見方とは

人事の履歴書の見方とは


お見合いの時、相手に渡す自己紹介の書類を「釣書」といいますね。手元の辞書によれば元々は系図を意味する言葉だったようですが、相手をその気にさせて釣り上げるためのエサとするわけですから、釣書とは言い得て妙です。

さて、履歴書もいわば釣書と同じようなものです。「釣り上げるのは会社の側だから、エサに相当するのは求人広告。履歴書を釣書と一緒にするのは的外れだ」という意見もあるかもしれませんが、転職する側にも会社を選ぶ権利があります。自分が本当に行きたい会社にパクリと食らいつかせるくらいの気持ちで、おいしそうなエサ(魅力的な履歴書)を用意することを考えるべきなのです。前置きはこれくらいにして、本題に入りましょう。

昨今は、インターネットのホームページ上から応募できる企業が増えていますが、だからといって履歴書が不要になったわけではありません。面接の段階では、必ず履歴書を提出することが求められます。面接に先だって履歴書、職務経歴書などの提出を求め、これらの書類をもとに1次選考を行う企業も少なくありません。

しかも、「履歴書を見れば、その人となりやキャリアもおおかた判断できる。とくに、本当に入社したいと思っているかどうかを知るには1分もいらない」と言い切る人事担当者は少なくないのです。人事はいったい、履歴書のどこを、どう読んでいるのでしょうか。その読み方を探るとともに、印象を良くするための対策を紹介します。
   

人事が履歴書で重視するポイント1:応募者の写真

人事担当者が、履歴書を手にしてまず目をやる箇所のベスト1は写真です。意識するとしないとにかかわらず、ぱっと目に飛び込んでくる部分だからです。

で、この写真ですが、ただ漫然と眺めて顔つきを印象づけるというだけではありません。全体の表情、髪型、服装、化粧の仕方、写真そのものの出来具合、撮影時のシチュエーション、さらには糊づけの仕方やカットの仕方に至るまでがチェック対象となります。ある人事担当者は、写真を重視する理由として次のように説明しています。

「どうしてもこの会社に採用されたいと願うのであれば、髪や服装にもビジネスマンらしく気配りし、顔の表情は引き締まり、目にも力がこもるはずです。それなのに、遊びのときと同じような締まりのない顔、粗野な表情で写った写真をこれでよしと判断して貼ってくる神経には、どうしても熱意を感じとれないんです」

スピード写真を使ったものには、イージーな印象が否めない。その分、入社の意欲も多少割り引いて考える、とする人事担当者も少なくありません。たかが写真と侮ってはいけません。

<対策>
ほとんどの人事担当者が、「写真としての仕上がりや服装、姿勢、目元、口元から意欲を判断できる」といいます。ポイントは、さわやかで、かつ積極的な印象が得られるかどうかです。このあたり、受け止め方は人事担当者によっても異なりますが、目は多少見開き気味にする一方で、口元からは多少の笑みが感じられるくらいがよさそうです。スーツなど服装は濃いめの色を選んだ方が、顔が引き締まって見えます。

いずれにしても、写真から受ける印象を高めるためには、写真館でプロに撮影してもらうべきです。街角にあるスピード写真を利用する場合に比べ、手間も費用もかかりますが、写真館でなら表情をチェックしてもらいながら見栄え良く撮影してもらえますので、失敗は少なくなります。
 

人事が履歴書で重視するポイント2:文字

冒頭でも説明したように、履歴書は、相手に好印象をもってもらうためのツールです。にもかかわらず、書きなぐったような履歴書、あちこちが汚れていてとても読む気になれない履歴書が少なくないそうです。こんな履歴書では、とうてい書類選考を通過できないのはいうまでもありませんが、文字全体から受けるイメージについて、次のような意見もあります。

「履歴書の各欄は決して小さなスペースではないのに、ちまちまとした小さな文字で書く人がいますね。閉じ込もった性格なのではないかと気になります。逆に、大きな文字で書いている人にはおおらかさを感じる。これだけで判断することはできないとは思いますが、受ける印象の点では大きな文字で書く人が好きですね」

「文字が丁寧か雑かによって、性格的に几帳面な人か、それとも投げやりな人か判断できます。どのような文書であれ、読み手の立場に立って書けないのは、ビジネスマンとしても成熟していない証拠といえるのではないでしょうか」

<対策>
履歴書は手書きが原則です。そのため、字に自信がないという人には多少のハンデがありますが、人事がチェックするのは、丁寧に読みやすく書いてあるかどうかであって、達筆かどうかは問題ではありません。むしろ、達筆なのに雑な書き方をしている人の方が嫌われます。

楷書で1文字1文字、丁寧に仕上げること。これにつきます。もちろん、誤字、脱字がないように留意するとともに、書き損じたら新たに書き直すなど、真摯な姿勢を見せることが肝心です。
 

人事が履歴書で重視するポイント3:職歴

別途、職務経歴書を提出する場合、職歴欄には事実関係を列挙すればすみますが、そうでなければ、人事担当者は、この欄に記載されている内容ならキャリアを判断していきます。チェック項目は、在籍した会社の業種、配属先での仕事内容、在籍期間などです。

転職を繰り返している場合には、それぞれの会社の業種、業務名から仕事の一貫性をチェックしたり、それぞれの会社における在籍期間から、その人の生き様まで探ろうとする人事担当者もいます。

「いくつもの会社を短期間に辞めている人。こういう人は、困難に真正面からぶつかって、前向きに解決しようという生き方をしていないと判断します。1つの会社、仕事に1年も続かないというのでは、うちに入ってもらっても同じことになるのではと気になりますね」

<対策>
職歴は、キャリアを端的に伝える欄です。ここに書き込んだ情報次第で書類選考を突破できるかどうかが決まるといっても言い過ぎではありません。ポイントは、できるだけ詳細な情報を提供することにあります。

具体的には、社名、配属先はもちろん、そこでの仕事内容、役割、実績まで書き込みます。それぞれの会社においてどんな活動をしていたのかがイメージできる程度に、情報を提供することです。

複数回転職している人は、仕事の一貫性、人生観まで問われることがありますので、面接に備えて考えを整理おきましょう。
 

人事が履歴書で重視するポイント4:志望動機

人事担当者は、会社選び、仕事選びの志望動機から、応募者が何を求めて転職しようとしているかを探ろうとします。その動機をベースに、入社してからの仕事に向かう姿勢、会社に対する貢献の度合いまでもシミュレーションしてしまうのです。

しかし、実際には、文章が短すぎてアピール度が低いものや、内容にオリジナリティがないものが少なくありません。上っ面だけの会社研究、職種研究で、真剣味が足りないものも多いということです。

「志望の動機として、好きだからとか興味があると書いてあっても、なんら食指は動きません。で、あなたは何ができるんですかと問い直したい。きっかけとしては憧れに近いものであっても、そのために自分にはどんな適性があるのか、これまでどんな努力をしてきたのかまでしっかり伝わるものであれば、ずっと印象は良くなります」

<対策>
志望動機は、単になぜその会社、仕事を希望するのか、その理由を書けばいいというものではありません。自分のキャリアや志向と応募先での仕事内容とを結びつけて、入社したらどのような働き方ができるのか、その会社、仕事を通じてどんな将来目標を実現したいと考えているのかなどを伝えることがポイントです。

このような具体的な志望動機を書くためには、前提として自分自身のキャリアプランを明確にする必要があります。その上で、自分のキャリアプラン実現のために、その会社や仕事でなければならない理由を文章にまとめれば説得力も増すことになります。市販の履歴書用紙は志望動機欄が小さいものがほとんどですが、指定された欄で足りなければ、職歴欄や資格欄など余ったスペースを活用してもかまいません。積極的入社の意欲を訴えましょう。
 

人事が履歴書で見るポイントは他にも

▼名前・年齢
名前を見るのは確認のためだけのことで、それほど深い意味はありませんが、年齢は、応募資格に合致しているかを確認するとともに、社員の年齢層とのマッチングやキャリアとの適合性をチェックするために、情報としてインプットされることになります。

▼住所
現住所から判断して、通勤距離や通勤時間の目安をつけたり、支店や営業所などがある場合、配属先を考える上での参考とされます。中には、住所の番地表示から持ち家なのかアパートなのかまで推測してしまうという人事担当者もいるようです。

▼学歴
最終学歴を確認します。学校での専攻と卒業後の進路(職業)が大きくことなる場合などは、その意志決定に関わった何かがあると判断され、新卒で就職した時点での会社選びの動機が聞かれることになります。

▼資格
自動車運転免許、宅建主任など応募資格として資格を持っていることが条件となっている場合だけでなく、資格の欄を気にする人事担当者は少なくありません。持っている資格次第では、新規事業のスタッフとしての期待が持てますし、資格取得による自己啓発の意欲とともに努力を継続する姿勢を持っているかどうかがチェックできるからです。

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