電子タバコは喫煙気分を味わえる?
テレビのトーク番組がきっかけで、広まってきた電子タバコ。一見良いアイディアには見えますし、グッズとしては面白いのですが……
禁煙グッズというより、ちょっとしたパーティグッズのような商品でしたが、近年の禁煙ブーム、特に公共の場所での禁煙が進んだ時期ということもあり、人気商品になったものもあるようです。ドラッグストアやディスカウントストアでも、「今、話題の!」というPOP付きで陳列されているのを見かけることがあります。
2010年のタバコ税の増税前には品薄になったものもあり、最近ではコンビニエンスストアでも比較的低価格のものも販売されているようです。
電子タバコの有効性とトラブル
電子タバコは本当のタバコと異なり、タバコの雰囲気だけを楽しめるものなので、副流煙などの周りの人への健康被害を招くこともありません。健康のために煙のない環境を願う医師としては、禁煙方法の一つとして、悪くない代償行動なのかなと理解していました。ただ、電子タバコに関しては、いくつか問題も指摘されています。その一つが、禁煙エリアや禁煙指定時間中の使用によるトラブル。例えば、朝夕のラッシュ時には禁煙になる駅構内や、都市部の禁煙指定エリアで、電子タバコは本当のタバコと間違われることがあります。
従来のパイプ型禁煙グッズと異なり、火や煙が再現されるという電子タバコの特徴が裏目に出てしまい、周囲や監視員の方との間でトラブルなってしまうことがあるようです。いわゆる新聞の三面記事に載りそうな問題ではありますが、ちょっとした心配りで解決できるトラブルかもしれません。
ニコチンを含む電子タバコには注意が必要!
タバコらしく見せるための商品の工夫は、禁煙にはプラスになりそうです。しかし、ニコチンが含まれているとすれば、話は別です
2010年8月に独立行政法人国民生活センターから報告され、厚生労働省が消費者と都道府県庁向けに「ニコチンを含む電子タバコへの注意を呼び掛け」というメッセージを出しています。
ニコチンは薬効薬理作用がはっきりしている薬物です。通常、ニコチンが含まれている商品は薬事法の対象となるのですが、電子タバコの中で薬事法に基づく審査を受けたものは、現在一つもないようです。よって、ニコチンが含まれている電子タバコの販売は薬事法違反になる可能性が高いという見解が示されています。
また、2010年12月には、消費者庁からも安易な使用は控えて欲しいというメッセージが消費者に向けて発信されています(消費者庁 News Release(PDF))。ニコチンが含まれていないと表示されていた電子タバコにまで、ニコチンが含まれていたケースを挙げての注意喚起です。
今後は業界団体も第三者機関によるニコチンの含有チェックなどを始めるということですが、現時点では注意が必要な製品が紛れていると考えた方がよいでしょう。禁煙のために電子タバコに変えても、買った製品にニコチンが含まれていては意味がありません。禁煙をしようという方には、このような関連省庁からのメッセージもよく確認した上で、判断されるのがよいと思います。