昔の花見は梅だった
梅は奈良時代以前に、中国文化と共に遣唐使が薬木として、中国(湖北省・四川省)から日本に持ち帰ったものといわれています。日本の風土によく合い、平安時代に広く普及しました。薬として使われるだけでなく、食用としても愛されました。
また、古くは花見と言えば桜より梅でした。たとえば天平2年(730年)には、九州の太宰府の大伴旅人(おおとものたびと)邸で梅花の宴が催され、山上憶良(やまのうえのおくら)が「春されば まづ咲く宿の梅の花 独りみつつや春日暮さむ」という歌を詠みました。太宰府は大陸からの文化を受け入れる玄関口のため、梅も早くから親しまれていたのです。万葉集には、桜よりも梅を詠んだ歌が多いようです。宮中の人々は、中国原産のこの花の下に集まって花見の宴を開き、歌を詠んだのですね。
梅は桜にくらべれば派手さはないけれど、独特の可憐さがあります。また、種類が多く、香りがよく、見ごろが長いのも特徴です。
見ごろはいつ?
早いところでは1月下旬から咲き始めますが、おおよそ、2月中旬から3月中旬くらいまでが見ごろです。このシーズンになると、梅で有名な神社などで、よく梅祭が行われます。まだ少し寒いけれど、野点や伝統芸能の奉納などもあって、なかなか風流なものです。
今回の記事は、そうした行事を中心に、九州、東京、鎌倉、京都の梅見どころをご案内いたします。
太宰府天満宮の飛梅
梅と言えば、皆様ご存知のように、天神様こと、菅原道真との関係が有名です。梅の名所とされる神社は、多くが、菅原道真を祀った天満宮や天神社です。道真さんは梅を愛し、無実の罪で京都から太宰府に左遷される際に「東風吹かば、思い起こせよ梅の花・・・」という歌を詠んで、別れを惜しみました。するとその梅は、海を越えて、あるじのいる太宰府まで飛んできました。その梅は、「飛梅」と呼ばれて、道真ゆかりの太宰府天満宮の境内に、今もあります。境内には、それ以外にも6000本約200種の梅の花が清らかな香りを漂わせ神苑に早春を告げます。
2011年
太宰府天満宮の梅関係の行事
1月22日(土)~3月6日(日) 梅の盆栽市(境内広場)
2月24日(木) 11時 飛梅講社大祭
2月25日(金) 11時 梅花祭ならびに飛梅講社大祭
太宰府天満宮のホームページ
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