ギャラリー併設アパート・マンションを汚す人はいない
樹木ギャラリーが季節を彩ります
なぜでしょうか?共用部分にゴミを平気で捨てる……この行為は、入居者がその物件に対し、専用部分に「住むこと」以外の価値を何も認めていないときにこそ、起こるものなのです。
「元々何の価値も感じない廊下だから、玄関だから、汚れても気にならない」「掃除は誰かがやってくれている。そのための管理費は払っている」本人に聞けばそんな答えが返ってくるのかもしれません。
しかし、ギャラリー併設アパート・マンションの場合は大概そうではありません。入居者はそもそも、そこで実現されている空間演出の内容に共鳴して、物件を選んでいます。自らがその空間を心地よいものと感じ、その心地よさに価値を認めているからこそ、若干のコストアップも受け入れて、そこに住んでいるのです。そんな環境を自ら汚したり、心地よさをわざわざ損なう……そんな行動はしないものです。
入居者が自ら物件を愛し、大切にしてくれるのです。オーナーにとって、とても嬉しいことです。もちろんこのことは、普段や将来におけるメンテナンスコストに対しても、大きな恩恵となることでしょう。入居者募集の面でも、プラスになることに間違いありません。
しかし、それ以上にオーナーにとって嬉しいのは、オーナーのセンスや趣味、信じたコンセプトに価値を感じ、共鳴してくれる人がアパート・マンションに集まってくれた!その事実、そのものであるかもしれません。
なお、こうしたギャラリー併設アパート・マンションの考え方は、建物の中だけでなく、外にも反映させることができるものです。
あるマンションでは、エントランスへと続くアプローチを素敵な小路にして、その脇に連なる美しい庭の樹木一本一本に、丁寧な説明版が付けられています。樹木の名前と、実の生る時期が、そこに書かれているのです。「樹木ギャラリー」と言ってもいいでしょう。季節ごとに美しい花が咲き、秋にはブルーベリーの実がなり、入居者にはたいへん好評のようです。
入居者は、きっとそんな風景を気に入ってこの物件を選んでいるはずです。毎日の仕事帰りなど、きっと癒されているに違いありません。そんな場所に、ゴミを落としていく人はおそらくひとりもいないでしょう。
ギャラリー併設アパート・マンションを建てたいと思ったら……
「ギャラリー併設アパート・マンションを私も建てたい!」この記事を読んで興味を持ってくださっている方には、パートナーを「インターネットで探してみましょう」と、お勧めすることになります。
実例や成功例を沢山ご覧になって、それらを実現したオーナーや管理会社、コンサルタントなど、よい相談相手を見つけてください。
よい相談相手は、まずしっかりと「あなたのことを知ろう」と努力してくれるはずです。趣味や好み、夢などをじっくりと聞いてくれるでしょう。そのうえで、土地のロケーション、予算、建設予定地におけるマーケットニーズなど、具体的な条件や展望をふまえ、提案を示してくれるはずです。
提案される企画内容は、あなたの希望どおりのものとは限りません。なぜなら、主役はオーナーではないのです。多くの人々がそれを受け容れてくれるのか、愛してくれるのか、何より「住みたい」と思ってくれるのか?そこが大事です。主役は、入居者なのです。
「私は○○の絵が大好き。○○の絵を満載したギャラリーをマンションにつくりたい」と、夢を描くのはいいのですが、それがオーナーのひとりよがりであってはいけません。
ある一定の趣味の人が多く集まる街で、あえてコアなマーケットを狙うといった特殊な事例も無いことはありませんが、リスクの高い冒険になりがちです。慎重な検討と判断が必要です。