梅の庭木の植え方・育て方
一重紅梅の「大盃」
梅は、早春を告げる花として古くから親しまれてきました。「松竹梅」と縁起木の一つにも数えられ、芳香漂う可憐な花もさることながら、果実は梅干や梅酒に利用できるところも魅力(実ウメの場合)。今回は、梅の育て方・楽しみ方をご紹介しましょう。
《 ウメ 》
学名 : Prunus mume 原産地 : 中国
科名 : バラ科 属名 : サクラ属
性状 : 落葉広葉樹 開花期 :2月~3月
花言葉 : 高潔、忠義
梅の種類…果実を採るための実ウメ・花を楽しむための花ウメ
ウメの実は梅干や梅酒、ジャムにと加工される
ウメには果実を採るための実ウメと、花を楽しむための花ウメがあります。実ウメの代表的な品種としては、大粒で梅干しに向く「南高」、小粒の漬け梅「竜峡小梅」、大粒で梅酒に向く「豊後」などがあります。
花ウメはたくさんの品種がありますが花弁の数で一重咲き・八重咲き、花色により紅梅・白梅と大別できます。代表的なものとして一重の白梅「冬至」、八重の白梅「玉牡丹」、一重の紅梅「大盃」、八重の紅梅「八重寒紅」などがあります。また変わり種として一本の木に紅白の花を咲かせる品種、「思いの儘」というものもあります。
園芸分類では野梅性、豊後性、杏性、紅梅性とに分類され、さらに細分化することができますが、一般的には上記のような花色・花弁数の分類で事足りるでしょう。
梅の花・庭木の育て方…植え付け場所、肥料など
八重の白梅、「月知梅」
梅は、苗木を購入して植えるのが一般的です。好みの品種を選んで買い求めますが、実梅の場合は品種により受粉樹が必要になるので、事前に確認しておきましょう。植え付け適期は休眠期の12~2月頃で、植え方は「庭木・花木の植え方」に準じます。
■植え場所
梅は日当たりと水はけのよい場所を好みます。庭植えでは、最終的な枝張りや手入れのためのスペースも考慮して植えましょう。
■水やり
庭植えでは特に必要ありませんが、植え付け後に活着するまでは根を乾かしてしまわないように注意します。鉢植えの場合は、鉢土が乾いたらたっぷりと水やりをします。
■肥料
枝垂れ梅も美しい
肥料は、10月頃に有機質の緩効性肥料を与えます。実梅には更に6月下旬~7月頃お礼肥として化成肥料を施します。
■病虫害
梅に発生する病虫害として、黒星病、膏薬病、アブラムシ、カイガラムシなどがあります。黒星病は風通しや日当たりが悪い場所に発生しやすいので、枝を透かすなどの対策をして、罹患した部分は取り除きます。膏薬病は、カイガラムシの防除に勤めれば発生を抑えられます。
アブラムシには、オルトランなどの薬剤のほか自然農薬を使います。カイガラムシは、発生が少ない場合はヘラや古歯ブラシなどで擦り落としてしまいます。大量発生している場合は、スプラサイド水和剤、アプロード水和剤といったカイガラムシ用の農薬を散布します。
梅の剪定…剪定のタイミングとやり方
梅は年に3回、剪定のタイミングがあります。一回目は花後で、開花した枝を2、3芽残して切り戻します。二回目が夏剪定で、不要枝を整理するとともに混み合った部分は枝透かしをします。徒長した枝は、枝先を切り詰めて樹形を整えます。二度伸びを防ぐため、芽かきを行うと花付きがよくなります。三回目は冬の剪定で、不要枝を整理して花芽を残しながら樹形を整えます。剪定すべき不要枝については、「庭木・花木の剪定」の「忌み枝」の項をご参照ください。なお大粒の実ウメでは、実を充実させるため4月下旬~5月上旬頃、枝一本につき実が1~2個になるよう摘果するとよいでしょう。
梅の楽しみ方…鉢植えや盆栽で楽しむことも
全国にある梅林、梅園を訪ねてみても楽しい
日本には全国各地に梅の名所があり、開花時期には梅まつりが開かれるところも多く、毎年早春のお花見を楽しむ人々が集まる春の風物詩となっています。これから梅を植えてみたいと思っている方は、こういった場所で好みのウメを探してみるのもよいでしょう。
また庭植えのスペースが無いという方も、鉢植えや盆栽で楽しむことができます。梅の馥郁とした春の香りを自宅で楽しめたら最高ですね。
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