映画やミュージカルを楽しみましょう
年末年始に帰省せず、彼氏や友達と過ごす方も多いことでしょう。そうすると正月三が日は、ついつい家でダラダラ過ごしがち…と思いますが、映画を観に行くのも素敵では?と思います。(1日は映画サービスデーですよね)そこで、オススメのお正月映画2本をご紹介しましょう。
バーレスク
『キャバレー』『シカゴ』『ドリームガールズ』『ショーガール』『ヘアスプレー』『マンマミーア!』『NINE』『RENT』…これまでにたくさんのミュージカル映画がゲイのハートをわしづかみにしてきました。そしてこの「ゲイが愛するミュージカル映画」リストに新たに加わることになるだろう作品が、『バーレスク』です。
『バーレスク』は『ドリームガールズ』や『ショーガール』の系譜に属する、華やかなステージと、ドロドロしたバックステージの両方が描かれたミュージカル(つまり、ゲイ的「鉄板」です)。歌とダンスの実力では世界の頂点に位置するアギレラが主演ですから、ステージの素晴らしさは言うまでもありません(本当にスゴイです)。そして、あのシェールの存在感ときたら…『ガラスの仮面』の月影先生を彷彿とさせるものがあります。キレイすぎるアギレラに対してシェールを持ってきた監督のセンスの絶妙さに拍手!です。
舞台裏で繰り広げられる女のドロドロした戦いと、そこから芽生える女の友情…『バーレスク』はそんなバックステージもののお約束を踏まえたうえで、さらにもう一歩踏み込んで、なんと『SEX AND THE CITY』同様、ゲイのサブキャラクターを登場させ、ベッドシーンまで描いてしまいました。正直、結末(終わらせ方)に物足りなさを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、それを補って余りあると思います。
そして、特筆すべきは、男性キャストの選び方。アラン・カミングのようなリアルなバイセクシュアル男優もそうですし、『プラダを着た悪魔』でナイジェル(アン・ハサウェイに絶妙なアドバイスをくれるゲイのチーフ)役を演じていたスタンリー・トゥッチもそうですし、『バレンタインデー』でカミングアウトするアメフト選手役を演じていたエリック・デインもそうですが、なんだか妙に男っぽい…ゲイ受けする男優が揃っているのです。これは間違いなく、ゲイであるスティーブン・アンティン監督の好みでしょう(笑)
サントラもほしくなるでしょうし、今後イベントで踊りたい!と思う人も多いだろう、ゲイ的「殿堂入り」間違いなしな、この冬最大の話題作。ぜひ、ご覧ください!
バーレスク
2010年/アメリカ/配給:SPE/監督:スティーブン・アンティン/出演:クリスティーナ・アギレラ、シェール、エリック・デイン、スタンリー・トゥッチほか/新宿バルト9ほか全国にて公開中
人生万歳!
ニューヨークを舞台に(と言っても『SEX AND THE CITY』のようなゴージャスさは全くなく、チャイナタウンの安アパートだったりします)、元ノーベル賞候補物理学者だった偏屈で気難しいおじいさん、男二人と同棲する女性、田舎から家出して来た常識知らずな小娘、ド貧乏な俳優志望の若者、ゲイのおじさん…一癖も二癖もある、都会じゃないと生きていけないような登場人物たちが、本当の自分に目覚めたり、ドタバタで「何でもアリ」な恋愛模様を繰り広げる様を描いたコメディ。この街では、どんな人でも(その気になれば、そしてチャンスがめぐってくれば)自分らしく生きていけるし、幸せになれる…そんなメッセージが伝わってきます。
「マジで?」「ありえないから!」と叫びたくなるような展開のオンパレードには思わず笑ってしまいますが、そうやって映画を見ているうちに、観客は、ふだんもしかしたら無視したり嫌ってたりするかもしれない「変人」たちを、いつの間にか好きになると思います。そして、ふと「そう言えば近所にこんな人いたっけ…」と思い出し、ちょっとだけその人のことを見直してみたりするのです。そこがこの映画の(あるいはニューヨークという街の)魅力であり、魔法なんじゃないかと思います。
若くて美しくて頭がよくて性格がいい人なんていないよね、みんなどこか欠けてるし、強烈に変わり者。でも、それでいいじゃん。イッツ・ニューヨーク!
ウッディ・アレン自身はゲイではありませんし、これまで作品にゲイが登場することもほとんどなかったのですが、前作の『それでも恋するバルセロナ』ではペネロペ・クルスとスカーレット・ヨハンソンが同性どうしで愛し合うシーンがあり、今回はゲイのキャラクターが登場します(意外なタイミングで)。素敵です。
人生万歳!
2009年/アメリカ/配給:アルバトロスフィルム/監督:ウディ・アレン/出演:ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソン、エド・ベグリー・Jr.、コンリース・ヒル、マイケル・マッキーンほか/恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開