和菓子/羊羹・最中・甘納豆

向島「青柳正家」藤色の餡に魅せられる(3ページ目)

向島の「青柳正家(あおやぎせいけ)」と言えば、「栗羊かん」と「菊最中」。餡はよく晒されて透明感のある藤色をしています。上質な味わいと格式ある装いは、年末年始の手土産にもおすすめです。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

一番人気の「栗蒸し羊かん」

「栗蒸し羊かん」(1本900円)

「栗蒸し羊かん」(1本900円)

実は同店で上の2つ以上に人気が高いのは、塩味を効かせた「栗蒸し羊羹」。柔らかでもっちりとした蒸し羊羹にほっくりとした栗がゴロリ。煉り羊かんや最中よりも甘さが抑えられ、あっさりしています。舌の上でとろけるような羊羹が、ぽくぽくとした栗の旨味を引き立てます。

店には他にも上生菓子や生菓子、焼き菓子などを含め、30種類ほどのお菓子が並びます。全て自家製餡を使い、須永さんを含め5人の職人さんで手作りしています。 

これからの「青柳正家」

「栗具楽生(クリグラッセ)」。(銀座三越「羊羹コレクション」より。現在は販売終了)(写真提供;銀座三越)

「栗具楽生(クリグラッセ)」。(銀座三越「羊羹コレクション」より。現在は販売終了)(写真提供;銀座三越)

青柳正家の伝統を大切にする一方で、新しいことも取り入れ、より多くの人に同店の味を知ってもらいたいという須永さん。

実は私が今回同店を訪ねたのは、先日(2010年11月上旬)銀座三越で開催されたイベント「羊羹コレクション」で目にした新作の羊羹に興味をそそられてのこと。

全国58店の羊羹が一堂に会したイベントで、同店が販売したのは新作・限定の「栗具楽生(クリグラッセ)」(イベント限定商品のため現在は販売終了)。カシス風味の餡で大粒の渋皮栗を包み、羊羹とチョコレートでコーティングし、指輪ケース風の箱に納めたものでした。同店は頑なに伝統を守るイメージがあっただけに、遊び心ある新作を発表した若き3代目の考えに興味を引かれました。

「あの新作は自分の気持ちを代弁するものだった」という須永さん。伝統の味を守り伝えることと、和菓子の新しい楽しみ方を提案すること。そのどちらにも誇りを持ち、楽しみながら取り組んでいる様子に、ワクワクするようなエネルギーを感じました。これからもイベントなどで新作を発表していく予定とのこと。「お菓子はほっとできるもの。気持ちをリセットしてくれるもの」と語る須永さん。次の新作も楽しみです。

<店データ>
「青柳正家」
所在地:東京都墨田区向島2-15-9
電話番号:03-3622-0028 
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜・祝日
アクセス:京成電鉄・都営地下鉄浅草線・東京メトロ半蔵門線・東武伊勢崎線押上駅 徒歩10分  東武伊勢崎線 業平橋駅 徒歩10分

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