難題去ってまた難題
景気の悪化で車を手放す家庭が増えており、マンション経営にも影響が及んでいます
先日触れた、管理費滞納問題については、無事入金され現状は改善されたものの、駐車場の解約が相次ぎ、駐車場収入を見込んだ管理費の設定となっていたため、管理費が大幅に足りなくなり、修繕積立金を1回70万円、もう3回にわたって切り崩している状態です。
ちなみに駐車場の解約が相次ぎはじめてからすでに2年。一般企業なら2年も損失対策を放置のうえ、その結果損失補てんだなんて決して許されない行為ですよね。
でも、それが成り立ってしまうのが管理組合。まるで放漫経営で傾きかけた会社のようです。よっぽど管理組合活動に熱心な理事でもいない限り、物事はなかなか進みません。とくに一般的なマンションでは管理組合の運営は管理会社に任せっきりのところも多く、協議されるのは3か月に1回程度行われる理事会でのみ。
基本的に小規模修繕や日常対応などは、理事長判断で遂行しますが、大型案件は理事会を通じて、かつ総会での議決が必要なので、臨時総会でも行わない限り、物事がきちんと決まるのは年一回きり、ということになります。もちろん管理組合にもよりますが、ごく一般的にはこのレベルでの活動となります。
というわけで、前年度の理事から引き継がれた「駐車場問題」は2年にわたって解決に至っていないというのが現状です。
駐車場収入は修繕積立金に組み入れるべき
そもそも管理費や修繕積立金を設定するときのセオリーとして一般的に言われているのは、駐車場収入は修繕積立金に組み入れるべし、というもの。管理費収入として見込んで設定してしまうと、駐車場収入が落ち込んだ場合に、管理費がショートしてしまうのと、機械式駐車場はいずれ大規模修繕が必要となるため、その原資とするためです。ちなみに昨今、多くの管理組合で、駐車場の空き問題が起こっており、外部貸しなどを検討・実施しているのもの、ほとんどマンション周辺でのニーズもなく、駐車場の空き問題はますます深刻化しているとのこと。
2007年頃に分譲されたある都心タワーマンションでは、駐車場を100%装着せず、逆に共用備品としてエコカーを4台導入し、カーシェアリングを実施していましたが、ユーザー視点で考えても、マンションの収益面で考えても非常に賢い選択だったといえるかも知れません。駐車場を戸数分確保できないという苦肉の策から生まれた施策が、実はマンション経営上は大きなメリットにつながったといえるでしょう。
それだけ駐車場問題はマンション経営にとって深刻な問題です。
ちなみに、マンションの駐車場問題を解決する手段として、新たな取り組みも生まれてきています。引き続き次ページで解説します。