感性とテクノロジーの融合!
ガイド:2011年2月に発売になる「ナイキVR PROドライバー」については? こちらも鍛造製法を採用したチタンドライバーですね。川口:「VR」ブランドに関しては、特に見た目と性能が一致することが大切。それは、ドライバーでも変わりません。
前作の「VR STR8-FIT TOURドライバー」と比べると、同じ460cc(ロフト10.5°モデル)でも、ヘッドのフォルムがかなりすっきりして上級者が好む形状に変わっています。
見た目の安心感と性能が一致することで、ゴルファーは気持ちよくスイングすることができます。そうしたことでターゲットへの集中力が高まり、好結果をもたらすと思います。
「VR PRO ドライバー」は、弾道調整機能「STR8-FIT TOUR」で、32通りの調整が可能になります。これだけ細かい調整幅があるのも、まず見た目の違和感を取り除くためです。
見た目と弾道のフィッティングには、このくらいの調整が必要になるということです。
ナイキゴルフは、テクノロジーを重視しているイメージが強いのですが、実際にはこうした人間の感性にフォーカスした部分がとても多いのです。
ガイド:ツアープロからのフィードバックは、多いのですか?
川口:もちろんです。まず、ナイキアスリートが使用できるプロダクトをつくっていかなければなりません。性能アップのプロセスにおいてもプロのフィードバックは非常に重要です。
例えば、深堀圭一郎プロは、非常に鋭敏な感覚の持ち主で、使ったクラブの構造や肉厚を当ててしまうほどです。こうしたプロには、見た目と性能が一致しないと使用してもらえないですね。
「ナイキVR PROドライバー」では、ヒールよりでやや下目での打球で飛距離ロスが少なくなるように設計してあります。これは、タイガー・ウッズが良く使用するスティンガーという低いショットを打つとき打点が下目ヒール寄りになるところから、コントロール性と飛距離性能をキープする意図があります。これもフィードバックの成果ですね。
ナイキ・ゴルフアスリートのポール・ケーシーが、前作「VR STR-FIT TOURドライバー」を使用して何試合か経って、感触の違和感を訴えたことがありました。
それは、コンプレッションチャネル後部のソールの振動をインパクトの瞬間に感じ取っているためでした。
それを解消するために、最終的にはヘッド下部の肉厚を最適になるように変更しました。又、カップフェースの切り返し部を最適化することで、チャネルの剛性を上げてもボールスピードがロスすることなく、尚且つ、その違和感が解消されたという例があります。
ツアープレーヤーの感性に応えることができ、大変喜ばしい出来事でした。
ガイド:川口さんは、この後、またテキサスのナイキ開発センター「OVEN」(オーブン)に戻られるんですね。貴重なお時間ありがとうございました。
インタビューを通して終始感じたこと、それは、日本の技術や日本人ゴルファーの感性が、ナイキゴルフの世界モデル開発に重視されているということです。開発者の川口さんは、その中心的な役割を担われています。
そして、タイガー・ウッズをはじめとするナイキ・ゴルフアスリートのフィードバックが、感性とテクノロジーを融合させたクラブ開発の核心になっているということ。それは、新しい「VR」のラインナップで、明らかになっていると感じました。
<関連リンク>
ナイキゴルフ 「OVEN」
ドライバーは超大慣性モーメントの時代へ(All About ゴルフ)