メンタルヘルス/自傷行為・自殺願望

「いのち」はどうして大切にしなくちゃいけないの?(2ページ目)

12月1日の「いのちの日」にちなんで、巷には「いのちを守ろう」というスローガンがたくさん見られます。では、わたしたちが大切にすべき「いのち」って、いったい何のことなのでしょう? そして、いのちを救うために必要なことはどんなことなのでしょう?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

死にたい人は「本当は生きたい」 

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「死にたい」と同時に「できれば生きたい」という思いも必ず生まれている

「死にたい」人は、これから先の自分の時間に完全に絶望しているわけではないはずです。今の苦しい問題さえ解決できれば、もっと生きていきたい、本当は最後まで自分の時間を使いたい、と思っているはずです。

時間を放棄したいと思うほどに思い詰められた人には、自分だけで問題を解決する余裕がありません。だからこそ「死にたい」と口走る人には、誰かの手が必要なのです。冷静な第三者がその悩みに耳を傾ければ、思わぬ出口が見つかるものです。

たとえば、社会資源や必要な医療へとつなぐことも、その出口の一つになるでしょう。多重債務や家庭内暴力で苦しんでいるなら、国が設置した法律相談窓口「法テラス」が全国各地にあります。育児の悩みで苦しんでいるなら、児童相談所があります。

そうした場所を見つけて窓口に一緒に訪れることでも、出口に近づくはずです。


自分の時間と同じように、あなたの時間も大事 

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どの人にも死ぬまで使える大切な時間がある

「死にたい」を口走った人には、ぜひ「あなたに生きていてほしい。悩んでいる問題について一緒に考えたい」という言葉を投げかけてください。

これは、「自分の時間(いのち)と同じように、あなたの時間(いのち)も失いたくない。だから今、私の時間(いのち)をあなたのために使いたい」というメッセージです。

「死にたい」という告白を聞くと、誰でも戸惑います。しかし先にお伝えしたように、その言葉の裏にあるのは「本当は生きたい」という切実な思いなのです。だからこそ、「もう自分の手には負えない」と線を引かずに一歩踏み込んで悩みを聞き、心の悩みの専門家や諸問題解決の専門機関を利用しながら一緒に考えてみてください。

その人がこの先使えるはずの時間を、いのちを守っていくためのヒントがきっと見つかるはずです。
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