プランター用の良い土の作り方とは
ベランダなどで、プランターで家庭菜園を始めるとき、どのような土を選んでいますか? ホームセンターに行くと、「培養土」「赤玉土」「黒土」など、さまざまな種類の土が並んでいて、どれを選べばよいのか迷ってしまうこともあるかと思います。そこで、基本的な土の選び方と、自分で簡単にできるプランター用の土作りの方法を解説します。なお、「オーガニックな栽培方法」をコンセプトに、できる限り化学農薬・化成肥料は使わないやり方をご紹介します。
野菜が美味しく育つ!プランターにとっての良い土とは
土作りをはじめる前に、そもそも「良い土」とは何か?をおさえておきましょう。良い土の条件は、以下の5点です。- 通気性が良い
- 排水性に富む
- 適度な保水性がある
- 保肥性がある
- 清潔である
たとえば、学校のグラウンドなどで、雨が降ると水たまりができてしまい、乾燥が続くとひび割れてしまうような土がありますね。それは、通気性と排水性が悪い土と言えます。このようなところで、野菜が美味しく育つとは思えませんよね?
良い土の見本は、森の中にあります。木々の落ち葉が徐々に分解され、たい肥となり、さらに細かくされて、フカフカの土となっていきます。そんなフカフカの土をイメージして、土作りにチャレンジしてみましょう。
初心者におすすめな土は「培養土」
■培養土とは、あらかじめブレンドされた土のこと「培養土」とは、あらかじめブレンドされた土のこと
■培養土の材料とは
右上から時計回りに赤玉土・ピートモス・バーミキュライト・黒土
大きなホームセンターに行くと、これらの培養土だけでも、とてもたくさんの種類があり、「どれを買ったらよいのか?」と、本当に困ってしまうほどです。家庭菜園の場合でしたら、ごく普通の培養土か「家庭菜園用」と書かれている商品を選べばOKです。
■オーガニックな家庭菜園を目指すなら、手作り培養土で
ただこの培養土は、肥料として化成肥料がブレンドされていたり、パーライトなどのケミカルな材料が使われたりしていることもあります。完全にオーガニックな家庭菜園を目指したい方は、培養土から手作りしてみてはいかがでしょうか? 手作り培養土は、材料を揃えて混ぜるだけなので、どなたでも簡単に作ることができ、菜園だけでなく、どんな植物にも応用することが可能です。
プランター用培養土の作り方
【手順1】基本の材料を混ぜ合わせます。たい肥は「完熟」と書かれたものを選びます。また、「牛糞」か「馬糞」でも代用できます。右上から時計回りに、完熟たい肥・赤玉土(小粒)・黒土
混ぜ合わせる比率は、「おおよそ写真のような感じ」とイメージしておいてください(たい肥の具合によって、実際の比率は異なります。自然素材なので、湿り具合や密度などが、さまざまなのです)。
【手順2】混ぜ合わせます。
手でよく混ぜます
【手順3】土を手で軽く握ってみて、軽く固まってホロッと崩れるくらいが良いブレンド比率です。さらさらし過ぎている場合は、保水性・保肥性が足りない状態です。赤玉土が多すぎるので、黒土を少しと、たい肥を多めに加えてください。逆に、ギュッと固まってしまって軽く崩れる感じではない場合は、黒土が多く、排水性が悪い状態です。赤玉土を少しと、たい肥を多めに入れ、最適な比率になるまで調整してみてください。これで、基本のブレンドは完了です。
軽く握ってみて土の状態を確かめます
【手順4】ここに、くん炭と肥料を加え、さらに混ぜれば、家庭菜園用のオーガニックな培養土の完成です。
写真はぼかし肥料を固形にしたもの
【手順5】プランターに入れます。プランターの底に敷かれているのは「寒冷紗」という布で、このような細かいメッシュ状の布を敷いておくと、水やりの際に、ベランダの床に泥の混じった水が流れるのを防ぐことができ、ベランダを汚さずに済みます。
鉢底に寒冷紗を敷くとベランダの泥汚れを防ぐことができます
【手順6】プランターの縁から5cm程度下がったところまで土が入れば、植えつけ準備完了です。あとは、思い思いに苗や種を植え付けていきましょう。
この、プランターの縁から土までの空間のことを「ウォータースペース」といいます。このように、プランターの縁と土の間にゆとりがあると、水やりをする際に、泥水がプランターからこぼれ出てしまうのを防ぐことができます。
土はプランターの縁、ギリギリまで入れ過ぎないようにします
処分に困りがちな古い鉢土の再生法
自治体によっては、回収してくれなかったり、処分の仕方に頭を悩ますのが、古い鉢土です。古い土もリサイクルをすれば、再び使用できますので、できる限りリサイクルをして、ゴミにしないようにしましょう。リサイクル方法は以下の通りです。プランターの土を、広げたシートなどの上に空け、古い茎や根、ゴミなどを取り除きます。それをビニール袋に入れ、直射日光の当たるところに置き、1週間程度天日干しをします。
その上で、先の培養土の作り方の3を参考に、たい肥やくん炭、赤玉土を適宜ブレンドします。たい肥やくん炭の代わりに、「古い土の再生材」のような商品がありますので、これをブレンドしても大丈夫です。この状態で、次に使うまでビニール袋に入れて保存しておくこともできます。
次に育てる作物が決まったら、この再生した土に、元肥を適宜加えて、再び使いましょう。
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