セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイライフ

HIV/エイズを感じる季節です(3ページ目)

今年も12月1日の世界エイズデーが近づいてきました。2010年ならではのトピックやゲイシーンでの動きをご紹介し、みなさんにHIV/エイズのことを身近でリアルに感じていただきたいと思います。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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写真展「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」

ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現

ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現

東京都写真美術館で「ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現」という企画展が開催されています。HIV/エイズをテーマに、8人のゲイのアーティスト(うち4人はエイズですでに亡くなっています)の作品が展示されています。それだけでもう、いかに貴重で重要な意義を持つ展覧会か、という感じです。

ここに展示された作品は、驚くほどいろんなテイストを持っています。
逆さ吊りになった男の巨大な写真。生まれたばかりの子どもを抱く裸の男の写真。死にゆく元彼の姿を克明に写し取っていくシリーズ。パートナーの死に対する追悼の表現。『ぼくの命を救ってくれなかった友へ』で有名なエルヴェ・ギヴェールの静謐な写真。現代アート的な作品。崖から飛び降りていくバイソンたちの写真。インドのゲイの人たちのポートレイト。そして、僕らの日常を映した映像(素敵な音楽付き)や、血液という「赤い糸」をからませながら愛し合う人たちの人形など…HIV/エイズをめぐる表現がこんなにも多様で豊かなものなのか、と感動させられます。

天井から吊り下げられた電飾のように、一見して意味がよくわからない作品もありますが、カタログ(図録)の解説を読みながら作品を観ると、俄然、感動が深まります(これは「こっそり」なサービスかもしれませんが、2Fの受付の方に言うと、カタログの見本を貸してくれます)
解説を読みながら1人1人のアーティストの経験したことや思いに触れていくと、どれもが「愛」をベースにした作品であることに気づきます。愛していたからこそのやりきれなさの表現、愛していたからこその「喪」としての表現…胸を打たれます。

そうした中、ひときわ(唯一と言っていいほど)身近で「生」の喜びや「希望」を感じさせるような作品で観客を魅了していたのが、ハスラー・アキラ(「akta」や「Living Together」のディレクター的存在である張由紀夫)さんでした。きっと「この作品があって本当によかった」と思うことでしょう。そして、アキラさんのことが好きになると思います。(こちらに素晴らしいレビュー記事が載っていますので読んでみてください)

1階の売店では、久しく入手困難だったアキラさんの稀代の名作『売男日記』もお買い求めいただけます。ぜひ、東京都写真美術館に足を運んでみてください。

それから、この写真展にはもう1つ、さりげないけど本当に素敵な特典があります。木曜日がカップル・デーになっていて、チケットを買う時に「カップルです」と言うと1人が無料になるのですが、男女に限らず、男性どうし、女性どうしでもOKなのです。

ラヴズ・ボディ 生と性を巡る表現
会期: ~ 12月5日(日)10:00~18:00(木金は20:00まで)
会場:東京都写真美術館
休館日:月曜(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日) 
料金:一般 800円、学生 700円、中高生・65歳以上 600円
出品作家:AAブロンソン、ハスラー・アキラ/張由紀夫、フェリックス・ゴンザレス=トレス、エルヴェ・ギベール、スニル・グプタ、ピーター・フジャー、デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ、ウィリアム・ヤン
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