「酢」と「重曹」を掃除に活用するメリットとは?
「酢」と「重曹」を掃除に活用
でも、巷にあふれる便利な“洗剤”に慣れている身としては、「ホントに酢とか重曹ていどが役に立つの?」と半信半疑気味……なのではないでしょうか?
<目次>
家庭の“汚れ”の正体は
われわれシュフ(主婦・主夫)が日々格闘している住まいの“汚れ”たち。ある時はくつろぎのトイレで、ある時はさわやかな窓辺で、またある時は創造力に満ち溢れたキッチンで、“汚れ”は私たちの快適な生活にいちいちケチを付けてくるものなのです。「ちょっとォ、汚れてるヨー!」しかし“汚れ”との格闘はイタチゴッコです。掃除しても掃除しても家は汚れる。汚れイコール生活といいきっても過言ではないでしょう。ではなぜ生活すると住まいが汚れるのか。その“汚れ”の正体とは何なのでしょう? 先ずそこを押さえないと、この格闘に勝利は訪れそうにありません。
主な“汚れ”は3つ
家庭のしつこくキリのない“汚れ”。しかし、主だった“汚れ”は、大別してしまうと「3種類」に分けられるのです。1)ホコリ汚れ
2)アブラ汚れ
3)水アカ汚れ
ザッツオール。
+αで複合的汚れのヴァリエーションは存在します(ホコリ+アブラ、とか)。
例えば「トイレの手洗い部分に茶色い模様状にガジガジ固まってしまっている汚れ」などは「ホコリ+水アカ」の複合技ですし、「キッチンのシンク周りにベタっと張り付いている汚れ」は「アブラ+水アカ」です。
“汚れ”の弱点を知る
憎きこれら“汚れ”を退治せしめるための効果的効率的方法は、その「弱点を知り、弱点を突く」に限ります。効かない方法を闇雲に試してもムダです。目には目を、歯には歯を、なのです。さて、弱点を知るためには、各々の“汚れ”の元々の“性質”を把握する必要があります。
それぞれの“汚れ”について検証
例えば 1)の「ホコリ」、これは主に屋外から飛んでくる「土ホコリ」と、家の中の布団やカーテン、また衣類からパフパフと出てくる「綿ホコリ」の2種類に大別されますが、それぞれ特徴として「そのままではベッタリくっ付きはしない・空気の動きに合わせて移動しやすい・飛び散りやすい」という性質が挙げられます。
「ホコリ」単体では、然程扱いづらい“汚れ”ではありません。掃除機の利用、乾拭きないし水拭きでほぼ対処できます。しかしこの「ホコリ」、アブラや水アカと結託したとき、ヘドロ状、ネンド状、ガジガジの石状等に化け、強烈に不愉快な汚れっぷりをアピールして来ます。
そうなってしまったときにはもう、水拭きなどというゆるい掃除法は何の役にも立ちません。複合した相手の“性質”をも把握する必要が生まれてしまうのです。
これを「汚れを溜めた」状態、と言う事ができます。一般に「掃除はマメにネ!」と言われる所以(ゆえん)です。
“汚れ”の性質
では、2)アブラ汚れの“性質”とは何でしょうか。家庭内における 2)アブラ汚れの「アブラ」とは、主には台所での調理で発生する「食用油(脂)」関係を発生の場とするものです。(住まうヒトの身体から湧き出る(?)「人体脂(皮脂)」もあります)
しかしこの、2)アブラ汚れは台所(特にコンロ周り・換気扇周り)という局地に限らず、ミスト状に家中に飛散しているもの。
例えば天井近くの壁紙や、電灯の傘についた「ホコリ」を掃除しようとして、「ベタッ」という感触を味わった経験のある方も少なくないと思いますが、その“汚れ”こそが「アブラ+ホコリ」だったわけです。2)アブラ汚れは予想以上・想像以上に家中を圧巻しています。
また 3)水アカ汚れは、主に水周りに見られるものですが、元が「水」であるだけに“汚れ”としての蓄積は緩やかかつ分かりづらいものになります。
洗面所やお風呂場、トイレなどで石けんや尿と組み合わさり、ガジガジに「石化」していきます。これも 1)ホコリと同様、単体でよりも他の汚れと合体した後のほうが扱いづらくなる類の“汚れ”と言えます。
酸性かアルカリ性か?
ところで、私たちが通常使っている“洗剤”というものには、よく「酸性洗剤」とか「アルカリ性洗剤」もしくは「中性洗剤」なんていう表示がなされているものです。まあ、ふつうはあまり酸性とか中性とか関係なく、その上に大書きされている「お風呂用」とか「住まい全般」とかいう用途に導かれて購入されているものかと思います。でも何故用途だけでなく「酸性」「中性」「アルカリ性」という液性が示されているのでしょう? ぜんぶ「中性」でもいいのに? と思いませんか?
じつは、住まいの“汚れ”は「酸性」を示すもの(「アブラ(油・脂)」“汚れ”はこれ)と「アルカリ性」を示すもの(「水アカ(水道水に含まれるカルシウム成分など)」や、尿に含まれるアンモニアなど)、両サイドにまたがるものと、なかなか複雑・多岐に渡っています。この“汚れ”自体の“性質”を「分解・中和」するのが掃除の第一ステップ。「酸性の“汚れ”にはアルカリ性を、アルカリ性の“汚れ”には酸性を」ぶつけるのです。
そして、その“汚れ”のパワーを弱らせたところで「流したり」「拭き取る」。なにげなく私たちがやっている「掃除」って、すべからくそう言うものですよね。
というところで、『酢』と『重曹』の登場です。それぞれ、(食)酢は弱酸性、重曹は弱アルカリ性という性質を持っています。「酢と重曹が掃除に役立つ」というのは、「酢と重曹は、それぞれアルカリ性の“汚れ”や酸性の“汚れ”を分解・中和し得る」という意味であったわけです。
『酢』はこう使う
さて、ひとくちに『酢』といっても、酢にはさまざまな種類があります。中には掃除には不向きな『酢』もあるので注意が必要です。<掃除に向く酢>
安価な醸造酢・ホワイトビネガー(アルコール酢)など
<掃除に向かない酢>
米酢・果実酢・色のついた酢(赤ワインビネガーなど)・調味酢 ※うまみの強いもの
一般的に食酢と呼ばれるものの酢酸濃度は5%ほど。pHにして4~5といったところの弱酸性です。掃除に使うのもこの位のものが安全で使いやすいでしょう。
しかし、どうしても『酢』の「酢臭さ」に抵抗がある場合には、弱酸性の『クエン酸』を水に溶いて利用してもほぼ同様の効果が得られます。
『クエン酸』は薬局などで手に入ります。『酢』と異なる点としては揮発しない性質を持っているので、クエン酸溶液を作る際には濃度2%程度を目安に、薄めに作りましょう。
『重曹』はこう使う
『重曹(ベーキングパウダー)』は最近、市販の“洗剤”としても家庭に登場してきました。使いやすさと効果が浸透してきているせいでしょう。スーパーの製菓売り場などにも置いてある『重曹』ですが、掃除に使う場合にはデパートの洗剤売り場などに置いてある「掃除用」の『重曹』を購入するほうが安価です。いずれにしても『重曹』であれば効果に差はありません。
『重曹』は弱アルカリ性(pH8程度)で、人体には無害。食用に供され、水にはあまり溶けません。
粒子がとても細かいのでクレンザーよりも傷の付きにくい「磨き粉」としての活躍も期待できますが、主には 2)アブラ汚れ相手に効力を発揮します。
アブラがべったりついた換気扇に振りかけて数分置き、ボロ布で拭うとアブラと一緒に固まって汚れが落ちます。キッチンのコンロ周りにも同様に。アブラや焦げでガチガチになった五徳や受け皿などは『重曹』を溶かした熱湯でグツグツ煮ると良いでしょう。また、ステンレスシンクやステンレス鍋を磨くにも最適です。ただ、一度は目立たないところで傷がつかないかは試しておいたほうが安心です(普通の洗剤を使うときと同様に)。また、鉄やホーローにも使えますが、アルミは黒く変色するので使わないほうが良いでしょう。
複合汚れにも応用して
『酢』と『重曹』の基本的な効用は上記しましたが、家庭の“汚れ”は先に書いたように、いろいろな複合技として私たちに闘いを挑んできます。しかし“汚れ”の性質を押さえた私たちには、複合汚れといえども恐れる必要はありません。例えばべたっとした「ホコリ+アブラ」の電灯傘は、お湯で『重曹』をよく溶かし、雑巾を浸して固く絞った(電気製品なので水分には充分注意!)もので拭きましょう。「酸性汚れにはアルカリ性」を、です。「ホコリ+水アカ」のトイレ手洗い部分には『酢』をスプレーして。古歯ブラシでこすります。「アルカリ性汚れには酸性」ですね。同様に、いろんな場所をお掃除してみて下さい。
安心、安全
しかし最後になってしまいましたが、『酢』や『重曹』をお掃除に使う最大のメリットは、「万が一くちに入れてしまっても食べられるので安心。安全!」
だということに尽きるのです。これは、小さいお子さんやペットがいる家庭では大きなことではないでしょうか? また、仮に素手で扱っても洗剤ほど手を荒らしません。(個人差があるので皮膚の弱い方は手袋をつけたほうが無難ですが)。ずぼらなタイプのシュフには大変気楽で、扱いやすいのです。
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<参考・関連サイト>
地球に優しいお掃除のページ
http://www.cleanplanet.info/
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