窓・サッシ・玄関ドア/窓・サッシの基礎知識と選び方

滑り出し、上げ下げ、内倒しetc. 窓の種類と特徴

光を取り入れ、風を通す窓は、日々の快適さはもちろん、インテリアや外観デザインにも影響を及ぼすものです。ここでは、一般的な住宅に用いられる窓の形状の種類と特徴をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

眺望、採光、通風など快適さを左右する窓プラン

窓は、眺望や採光、通風や換気などもちろん、外観デザインやインテリアの要素ともなるもの。窓のスタイルや配置計画によって、日々の快適さや使い勝手を大きく左右する重要なアイテムです。ひとくちに窓といっても、さまざまなタイプがありますが、開閉方法や形、設置する位置や目的などによって分類することができます。

テラスやデッキなどの屋外とのつながりにも配慮したい。[APW431undefined大開口スライディング]undefinedYKK APundefinedhttp://www.ykkap.co.jp/

テラスやデッキなどの屋外とのつながりにも配慮したい。[APW431 大開口スライディング] YKK AP

開閉スタイルによる分類

■横引き窓(引き違い・片引き・引き分け) 横にスライドするタイプ
横に引いて開閉する窓には、左右どちらからも開けられる引き違い、中心から左右に開ける引き分け、一方だけの片引きがあります。最も一般的で馴染み深いのは引き違いでしょう。サイズも揃い、さまざまな場所にプランニングすることが可能なスタイルです。下枠のレールに工夫を施し、室内からベランダ・バルコニー・デッキなどとのつながりをスムーズにした掃き出し窓、フィックス窓と片引きを組み合わせたタイプなどもみられます。

■上げ下げ窓  ダブルハングが一般的
2枚の窓を窓枠に沿って上下にスライドさせて開閉するタイプのこと。ハングウィンドウとも呼ばれており、上下2枚とも動くダブルハングが一般的でしょう。片方だけが動くタイプはシングルハングと呼ばれ、2枚が同時に動くタイプは上下からの通風が可能です。開閉が壁の厚みの中で収まるので、場所をとらないのがメリットです。

■滑り出し窓  横と縦のスタイルがある
滑り出し窓には、横滑り出し窓と縦滑り出し窓があります。窓枠の左右の溝に沿って動くタイプが横滑り出し窓。ガラス部分がひさしのようになり、雨が吹き込まず通風を確保することができます。上下の溝に沿って横に 滑り出すタイプが縦滑り出し窓。角度によって、風を調整することが可能でしょう。防犯対策として、一定の角度以上に開かないようにストッパーが付いているタイプも。チェーンなどで操作する高所用滑り出し窓もあります。

高い位置に設ける窓のスタイルにも配慮したい。 [サーモス2-H 横すべり出し窓_スクエア]undefinedLIXIL

高い位置に設ける窓のスタイルにも配慮したい。 [サーモスII-H 横すべり出し窓_スクエア] LIXIL
 

■内倒し窓・外倒し窓  窓の下を軸にして内と外に倒す
内倒し窓は、窓の下を軸に、部屋の内側に倒すタイプの窓のこと。水まわりの天井近くや手の届きにくい場所に用いられることが多いものです。外側に押して開くタイプは外倒し窓。外に向かって空気が流れやすいので、高所に設置するケースがみられます。

■開き窓(外開き窓)  片開きや両開きがある
欧米でよく用いられる窓で、左右どちらかを軸に開閉するタイプ。外開きが一般的で、1枚の片開き、2枚の両開きなどがあります。両開き窓の上部に半円形のフィックス窓を組み合わせたタイプなどは輸入製品に多くみられ、住宅のデザインに合わせ、窓枠をカラフルな色に塗装したものなどもあります。

■ツーアクション窓  2種類の開き方ができる

内倒しと内開きなど、ハンドルの操作によって2つのタイプの開閉方法ができるタイプ。開きの少ない内倒しで、通風や換気も可能ですし、防犯にも。内開きのスタイルは掃除もしやすいのが特徴です。

開閉方法がふたつあるタイプ。状況に合わせて使い分けて。「APW430」ツーアクション窓undefinedYKK APundefinedhttp://www.ykkap.co.jp/

開閉方法がふたつあるタイプ。状況に合わせて使い分けて。[APW430 ツーアクション窓] YKK AP

■ルーバー窓  ジャロジーと呼ばれることも
水平に重なった複数の細長いガラス板のルーバーを、ハンドルやチェーン操作、電動で開閉する窓のこと。ジャロジー、ガラリ窓とも呼ばれています。洗面室やキッチン、納戸など通風・換気が必要な場所に多く用いられ、断熱性を高めたダブルガラスタイプもあります。視線を遮りたい場合は、型板ガラス(ガラスの片面に型模様をつけた不透明もの)を取り入れるといいでしょう。面格子付のタイプもみられます。

■オーニング窓  複数の窓が一緒に開閉
縦に並んだ複数の障子(横滑り出し窓)が同時に開閉するタイプの窓。ひとつのハンドルで操作します。角度を変えることで、通風を調節することが可能です。

■回転窓  掃除がしやすいのが特徴

戸の中央を回転軸とするもので、縦軸回転、もしくは横軸回転のタイプがあります。家の中から窓の外側の掃除がしやすいのも特徴でしょう。

■全開口型(大開口)の窓  折れ戸や引き込みなどが揃う
開口部を大きく開くことができる窓。折れ戸のような窓(両側にたためるものは両折れタイプ)や引き込みタイプ、片引きタイプなどが揃っています。リビングとデッキ・テラスなどのアウトドアスペースを一体化させたい場合などに適しています。

■フィックス(はめ殺し)窓  光を取り込むことが目的
開閉できないガラス窓のこと。はめ殺し窓とも呼ばれ、採光が主な目的の場合に用いるもの。丸型や正方形、細長いスリット状のタイプ形などさまざまな形状の商品があり、異なる形状の窓と組み合わせる例も。小型のタイプを並べて、個性的な外観やインテリアデザインとしてもいいでしょう。

■出窓  部屋を広く使用できる
窓の開口部を外に突き出したタイプの窓。長方形や多角形(ベイウィンドウ)、弓形(ボウウインドウ)など、さまざまなデザインがあります。室内側を広く使えるメリットがあります。

取り付ける位置や設置方法などでの分類

■トップライト(天窓)  3倍の採光が得られる
天窓やルーフ窓とも呼ばれる屋根に取り付けられた窓のことで、同じ大きさの一般の窓と比べて3倍の採光が得られるとされています。固定式(フィックス)と開閉式に分かれ、開閉式には、手動タイプと電動タイプがあります。雨センサーや熱センサーによって自動開閉するタイプも揃っています。

明るさを確保しにくい北面などに。[天窓シリーズ]undefinedYKK AP

明るさを確保しにくい北面などに。[天窓シリーズ] YKK AP

■ハイサイドライト  天井近くに設ける窓
高窓採光とも呼ばれ、目の高さより高い位置、壁の上部天井近くに窓を設け採光を得ること、もしくは、設けられた窓のことを指す場合もあります。

■高所用窓  吹き抜けなど高い位置に設置
吹き抜け空間や階段上部など、高い位置に設けるための窓サッシ。開閉操作にチェーンを設置できるなどの特徴があります。

■地窓  床面近くに設置する窓
床面に接した位置にある窓のこと。床面から柔らかい光を取り入れることが可能です。

■コーナー窓  空間に広がりが生まれる
部屋のコーナー部分に設けるもの。二方窓とも呼ばれ、空間に広がりが生まれます。

■テラス窓  屋外に出入りするタイプ
庭やテラス、デッキなどに出入りしやすい、掃き出しタイプの窓。テラスドアと呼ぶこともあります。

■デザインウィンドウ(装飾窓)  アクセント窓と呼ばれることも
丸や四角の小さめの窓、細長い窓のことやそれらをいくつか組み合わせたプランを指す場合がみられます。アクセント窓と呼ぶことも。また、開閉方法の異なる窓を組み合わせたものを指すこともあります。窓を連続させたり、複数用いることで、個性的な光を取り入れ演出したり、特徴ある外観デザインを作り出すことができるでしょう。

■連窓  複数の窓を並べて設置
同じ窓をいくつか並べて設置すること。縦に並べ段窓ということもあります。

■ピクチャーウィンドウ  絵のような風景を眺めることができる
好ましい外の風景を枠で囲うように設けた窓のこと。眺めることを主な目的とした窓を指します。

雨戸やシャッター付き、リフォーム向けタイプも充実

既存のサッシ枠・窓枠はそのままで施工することができるリフォーム向けの商品も。[リフレム リプラス]undefinedLIXIL

既存のサッシ枠・窓枠はそのままで施工することができるリフォーム向けの商品も。[リフレム リプラス] LIXIL

■シャッター付・雨戸付サッシ  操作しやすい電動タイプのシャッターも
防犯性を高め、雨や風から住まいを守るため、シャッターや雨戸と組み合わせた商品も揃っています。リモコンなどで操作できる電動タイプもあります。

■面格子付窓  裏手の窓、防犯性が気になる窓に 
防犯性を高めるために、面格子を組み合わせたタイプ。水まわりなどに用いる引き違い窓やルーバー窓などでみられます。

■後付けサッシ  リフォーム向けの施工しやすいタイプ
既存サッシの外側に取り付けることができるもの、内窓として設置するもの、また既存の枠を用いるタイプなどが提案されています。いずれも施工しやすく、性能を高めることができるでしょう。

ショールームで実物を確認し、操作性をチェック

このように窓には、さまざまな形や設置方法などがあります。最近では、室内と屋外をつなぐ大きな開口部に適したもの、プライバシーを確保しつつ採光や通風を確保するような小型のもの、細長いタイプなども数多く揃っています。

選ぶ際には、ショールームで、実物を確認し、操作方法や掃除のしやすさなどのチェックすること。もちろん、断熱性や気密性などの性能面、外観やインテリアとのコーディネートなども検討しておきたいポイントです。窓まわりの建材である、網戸や雨戸、面格子も同時に確認しておきましょう。


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