自然栽培ブドウの滋味
自然な栽培方法で健康に育てたブドウは、上質なワイン造りに不可欠だ。この考え方は世界中で広まり、深められている。自然農法といってもいろいろな度合いとやり方があり、できるだけ化学薬品を使わないといった「減農薬」タイプから、ほとんど使わない「有機」タイプ、そして有機的栽培にシュタイナーの思想をプラスした「バイオダイナミクス(ビオディナミ)」といった選択肢が挙げられる。ニュージーランドで初めて有機栽培の公的認証を受けたワイナリーは、ギズボーン地方西部にあるミルトン・ヴィンヤーズである。1984年の創立当初から、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、化学肥料のいずれも使用せず、自家製の堆肥を施し、バイオダイナミクス独特の溶液(ハーブや水晶などを加えたもの)を散布してブドウ樹を活性化している。徹底したバイオダイナミクスの実践で知られ、今やジェームズとアニーのミルトン夫妻は、多くのワイナリーにとって指導者的な存在だという。
オポウ・ヴィンヤード シャルドネ 2007年 (ミルトン・ヴィンヤーズ)
このワインには、ブドウの滋味が感じられる。杉樽のような樽香はあるのだが、ブドウ由来の味わいは驚くほど深みがあり、いろいろな要素がまったりと調和している。世界最強のワイン評論家ロバート・パーカーのウェブサイトでこのワインの2006年ヴィンテージを評して「ドミニク・ラフォンのムルソーを思い出させた」とブルゴーニュのトップ生産者の名が挙げられたのも不思議ではない。
ニュージーランドワインの9割はスクリューキャップである。このワインは生産者が入手できる最上質のコルク栓を使用して瓶詰しているが、翌年ヴィンテージからはスクリューキャップで瓶詰される予定である。今のうちに1本手に入れて取っておいて、翌年のワインと味わいを比較すると興味深いだろう。
4本目は、ゲヴュルツトラミナーを紹介。