ワイン/手頃なお買得ワイン

ニュージーランドの4本を味わう(4ページ目)

ニュージーランドのワインにお買い得なものが増えてきた。ワイン輸入会社のアプレヴが扱うニュージーランドワインから、手頃な価格で個性たっぷりの白ワインを4本紹介しよう。

執筆者:橋本 伸彦

 自然栽培ブドウの滋味

自然な栽培方法で健康に育てたブドウは、上質なワイン造りに不可欠だ。この考え方は世界中で広まり、深められている。自然農法といってもいろいろな度合いとやり方があり、できるだけ化学薬品を使わないといった「減農薬」タイプから、ほとんど使わない「有機」タイプ、そして有機的栽培にシュタイナーの思想をプラスした「バイオダイナミクス(ビオディナミ)」といった選択肢が挙げられる。

ニュージーランドで初めて有機栽培の公的認証を受けたワイナリーは、ギズボーン地方西部にあるミルトン・ヴィンヤーズである。1984年の創立当初から、殺虫剤、除草剤、殺菌剤、化学肥料のいずれも使用せず、自家製の堆肥を施し、バイオダイナミクス独特の溶液(ハーブや水晶などを加えたもの)を散布してブドウ樹を活性化している。徹底したバイオダイナミクスの実践で知られ、今やジェームズとアニーのミルトン夫妻は、多くのワイナリーにとって指導者的な存在だという。
オポウ・ヴィンヤードundefinedシャルドネundefined2007年undefined(ミルトン・ヴィンヤーズ)

オポウ・ヴィンヤード シャルドネ 2007年 (ミルトン・ヴィンヤーズ)

ワイナリーの周辺、テ・アライ河沿いにある畑(オポウ・ヴィンヤード)のシャルドネ種(クローンは15、95、メンドーサを併用)で造られるのが「オポウ・ヴィンヤード シャルドネ」だ。手作業で収穫したブドウから搾った果汁を、フランス産オークの小樽に入れて発酵させ、酵母の澱とともに熟成させる間、部分的にマロラクティック発酵させる。マロラクティック発酵というのは、ワインに含まれるシャープなリンゴ酸を、乳酸菌によってまろやかな乳酸に換えることなので、まろやかさとシャープさを兼ね備えたワインが出来る。

このワインには、ブドウの滋味が感じられる。杉樽のような樽香はあるのだが、ブドウ由来の味わいは驚くほど深みがあり、いろいろな要素がまったりと調和している。世界最強のワイン評論家ロバート・パーカーのウェブサイトでこのワインの2006年ヴィンテージを評して「ドミニク・ラフォンのムルソーを思い出させた」とブルゴーニュのトップ生産者の名が挙げられたのも不思議ではない。

ニュージーランドワインの9割はスクリューキャップである。このワインは生産者が入手できる最上質のコルク栓を使用して瓶詰しているが、翌年ヴィンテージからはスクリューキャップで瓶詰される予定である。今のうちに1本手に入れて取っておいて、翌年のワインと味わいを比較すると興味深いだろう。

4本目は、ゲヴュルツトラミナーを紹介。
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