バランスのよい食事を楽しみましょう! |
今回は、ステージ1・2の食事療法の目安を紹介します。あくまでも目安であり、食事療法は個人の症状・状態に応じたものが必要ですので、必ず管理栄養士に相談するようにして下さい。
腎臓病の食事療法:ステージ1・2
ステージ1・2の時期は、特別な腎臓病向けの食事療法は必要ありません。塩を控えたバランスのよい食事をするように心がけましょう。ところが…、これが結構複雑なのです。理由としては以下の通りです。■(1)たんぱく質などを制限してしまう人がいる
■(2)「からだにいい」食べ物を集中して摂取してしまう人がいる
■(3)バランスのよい食事が分からない
■(4)塩を控えるのが難しい
■(5)腎臓病の原因となった高血圧や高血糖などに対応した食事が必要
それでは一つずつ見ていきましょう。
(1)たんぱく質などを制限してしまう人がいる
特別な食事療法は必要ないステージ1・2でも、腎臓に負担を掛けないようにしようと思い、「たんぱく質やトータルの食事量を減らそう」と考える人もいるかと思います。体内の不要物を減らせるようで、なんとなく効果的そうですが、一般的な状況では悪影響が懸念されます。たんぱく質やカロリーをむやみに減らしてしまうと栄養不良に陥ります。栄養不良な状ヤでは、筋力や免疫力が低下します。腎臓病が進行すると、鉄やカルシウムなどの代謝異常に関連した、貧血や骨の異常などの対策も必要になってきます。必要の無いカロリーやたんぱく質の制限は、栄養素の欠乏を招き、全体的な長期的な健康状態の悪化につながりかねません。
腎臓病が進行した状態でも(透析開始前)、厳しいたんぱく質制限には効果がないとする研究結果もあるため、状況によっては、個人に合ったアプローチが必要です。制限が必要ない時期に、食事制限を開始してしまうと、腎臓病の対策として効果がないだけではなく、ストレスの原因になったり、栄養状態などの低下を招く可能性が高くなります。
2)「からだにいい」食べ物を集中して摂取してしまう人がいる
インターネットで”腎臓病に効く食べ物”検索すると、じゃがいも、小豆、スイカ、などが出てくるようですが、既に腎臓が悪い人が摂取すると悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、これらの食物にはカリウムが多く含まれ、健康な人には確かによい食べ物です。ただし、腎臓機能が低下してくるとカリウムを上手く排除することが出来なくなり、制限が必要になります。ステージ1・2ではカリウムを制限する必要はありませんが、摂取しすぎると、血中カリウムが上がってくる可能性もあります。
カリウムは少なすぎても多すぎても体に悪影響を与えます。ちょっと大げさかもしれませんが、少なすぎれば心臓は動かなくなりますし、多すぎれば心臓発作を起こしたりします。よって、バランスのよい食事に含まれる程度がちょうどよいと言えるでしょう。
カリウムが多い食品に限らず、「からだにいい」と聞いても、その食べ物を集中的に摂取しないように気をつけましょう。インターネット等で得た情報はそのまま鵜呑みにするのではなく、信頼できる専門家に相談しましょう。