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スバルの水平対向エンジンが21年ぶりにリニューアル!(2ページ目)

熱心なファンが多いスバル。その大きな魅力となっているのが搭載される水平対向エンジンだが、そのエンジンが実に21年ぶりにフルモデルチェンジを受けた。従来のエンジンに見られた水平対向ゆえの欠点をカバーする新エンジンは、今後へと繋がる可能性を秘めた期待のパワーユニットだ。

執筆者:宮島 小次郎


水平対向エンジンの常識を覆すロングストローク化を実現!
 


新型フォレスター

新型エンジンは、まずフォレスターに搭載されて登場する。その性能は、最高出力こそ148psと変わりはないものの、最大トルクは196Nmへと5Nm向上し、燃費も15km/lと1割ほど改善している
 

従来の水平対向エンジンが抱えていた問題を解決すべく、新エンジンでは根本から設計の見直しが行われました。『FB20』型と名付けられた新エンジンでは、従来型で同じ2.0リッターの排気量を持つEJ20がボア・ストローク92mm×75mmであったのに対し、84mm×90mmとボア・ストロークの比率が逆転したロングストローク設計としたのです。

これはもちろん、ストロークを伸ばすこと自体が目的ということではなく、同じ排気量を保ったまま、ボアを小さくするための設計です。ボアを小さくすることで、燃焼室をコンパクト化でき、従来のビッグボアエンジンにあった燃焼速度や冷却損失の問題を改善することができるというのがその狙いです。

一見すると、エンジンの燃焼室が大きい方がバルブ径が大きくでき、空気もたくさんとり込めてパワーが出そうにも思えますが、燃焼室が大きくなると表面積が拡大し、そこから逃げる熱エネルギーが増える他(=冷却損失)、広い燃焼室では混合気が十分に燃え広がるのに時間が掛かることから、燃焼効率の悪化に繋がってしまうのです。

燃費などを気にせずに、単純にパワーだけを追求してゆくなら話も変わってきますが、一定の燃料からどれだけ効率的にエネルギーを引き出すことができるか、という最近の効率重視のエンジン設計では、燃焼室のコンパクト化は不可欠な要素となっています。

エンジン工場

スバルでは、群馬製作所大泉工場内に新たにエンジン工場を新設し、新エンジンの生産体制を整える

もちろん、スバルでも今になってようやく最新のトレンドに追いついたというわけではなく、これまでにも従来のEJ20型をベースにレガシィの6気筒モデルに採用されたEZ30型(ボア・ストローク89.2mm×80.0mm)、インプレッサなどのベースモデルに搭載されるEL15型(ボア・ストローク77.7mm×79.0mm)などのエンジンへと発展させ、燃焼室のコンパクト化を推し進めてきました。今回のFB20型はそれらの発展型と考えられます。

FB20では、こうした基本設計に加えて、バルブ挟み角の狭角化(=燃焼室のコンパクト化)、ローラーロッカーアームや低張力ピストンリングの採用によるフリクションの低減、オイルポンプの効率アップ、ヘッドとブロックの冷却系路見直しによる冷却性改善、ガソリンエンジンとしては珍しい水冷式クールドEGRの採用、デュアルAVCSやTGVの搭載など、細部に至るまで徹底して改善を施すことで、従来に比べて約10%の燃費向上(新型フォレスター)と低速域からの力強いトルク特性を発揮すること(最大トルク191Nm→196Nm)に成功しました。

数字だけで見ると大幅な向上ではないように見えるかもしれませんが、今回の改良は今後に繋がる第一歩だと考えられます。優れたベースをじっくりと時間を掛けて熟成させてゆくというのがスバルのこれまでやり方ですから、このエンジンに関しても今後直噴化やターボチャージャーの活用などによって、さらなる発展が期待されます。また、噂されているトヨタとの共同開発モデル、FT-86にも、このFB20を進化させたエンジンが搭載されてくるはずです。
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