血圧に影響する栄養素・成分
昆布に含まれるアルギン酸にも、ナトリウムを排出する作用があります。 |
果物にはカリウムが多く含まれていますが、グレープフルーツは降圧薬であるカルシウム拮抗薬の作用を強める等の見合わせがありますから、薬を服用している人は、医師の指示に従ってください。
● n-3系脂肪酸・・・青魚などに多く含まれているDHASやEPA、またシソや亜麻等に含まれるn-3系の不飽和脂肪酸は、血液の流れをよくすることで、高血圧を防ぐ働きがあると言われています。
ただし、これらの脂肪酸は酸化しやすいので、古いものをとると逆に体内で過酸化物質を生成し 動脈硬化を引き起こすとも言われています。
● アルギン酸・・・昆布等の海藻に含まれている水溶性食物繊維「アルギン酸」は、ナトリウムを排泄する作用があり、血圧上昇を抑制します。
● タンパク質・・・タンパク質は細胞をつくる原料です。血管を丈夫にするにはタンパク質が必要です。植物性のタンパク質よりも動物性タンパク質の方が、アミノ酸スコアは高く良質なのですが、脂肪等が多く含まれている部位がありますので、お肉や魚を選ぶ時には脂肪の少ない部位を選びましょう。
● その他機能成分・・・大豆に含まれているイソフラボンや、干ししいたけに含まれているエリタデニン、タマネギの硫化アリル、納豆やピーマンに含まれるピラジン化合物などは、それらの機能性により血を固まりにくくしたり、血流をよくするなどして、高血圧を防ぐと言われています。他にも血行をよくする成分については、こちらでご紹介しています。
アメリカで注目されるDASH食って?
アメリカで研究され、高血圧改善に成果を上げている「DASH食」は、日本でも注目されています。DASHとは、「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、「高血圧を防止するための食事」です。具体的には、野菜や果物、木の実、豆、魚、全粒粉のパンなどを多くとり、牛肉や豚肉、甘い菓子やソフトドリンクを控えることで、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、たんぱく質を多く摂取できるようになっています。また今までの欧米型の食事にありがちな高脂肪、高カロリーな食事を、低脂肪、低カロリーな食事にと、示しています。
日本の伝統的な食事は米を主食に、野菜、豆類、魚介類、海草などを食べ、DASH食には日本人はなじみやすいと思います。確かに現代人の食事の栄養素摂取量を比較すると、炭水化物や、脂質、タンパク質の摂取割合は、DASH食に近いのですが、注意すべき点はDASH食よりもカリウム、マグネシウム、カルシウムは少なく、ナトリウムが多いと指摘されています。
この研究では減塩すればさらに効果があがると言われていますが、あくまでアメリカ人での実験データなので、日本人の場合はどうなのかは、今後の研究データが必要だと思います。
高血圧を防ぐ食事の注意点
DASH食は、高血圧以外に疾患がない人を対象にしています。カリウムを多くとることは、高血圧を防ぐ上では有効ですが、腎臓に疾患のある人がカリウムを摂りすぎたり、また糖尿病の人が果物を多量に摂るとカロリーがすぐにオーバーになってしまいがちですから、別の疾患がある、不安がある人は必ず医師と相談しましょう。またこれさえ食べれば高血圧が治るという食べ物はありません。血圧に影響する栄養素や成分の中には動物実験レベルのデータも多く人間ではまだ実験はされていないものもあること、また食品として摂取するには大量摂取しなければならず現実的でないもの、あるいは大量摂取することに問題があるものもありますので、過信して過剰にその食品だけをとることがないように、うまくお献立の中に入るように工夫することが大切です。
参考/
●平成12年 第5次循環器疾患基礎調査結果の概要について(厚生労働省)
●あたらしい栄養学(高橋書店)
■関連リンク
●高血圧(食と健康)
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