猫の発情期のメカニズムについて解説

猫の発情期のメカニズムについて解説

真夜中、突然赤ん坊が引きつけを起こしたような叫び声や、猫同士のうなり合う声で飛び起きた経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。赤ちゃんが引きつけを起こしたような声は、発情期のメス猫の鳴き声。そのメス猫を巡る恋の決闘でオス猫同士のうなり声のボルテージが高まります。猫という動物はどんな性本能を持っているのでしょうか? 今回は猫の発情、そして妊娠から出産までについてです。
     

猫の発情期はいつ頃起こる?

猫の発情は日照時間に関係があるという説が有力で、メス猫は1日のうちの12~14時間、500ルックス(読書が可能なかなりの明るさ)の光にさらされていると発情しやすいといわれています。冬至が終わると、不妊手術が済んでいないメス猫のソワソワ=発情が始まります。このようにメス猫の発情シーズンは1~2月頃から始まり、受胎しなければ5~12日間続く発情を9~10月頃まで数回繰り返します。

ただし、室内で飼われている猫は、季節に関係なく明るい時間が長ければ一年中いつでも発情を迎える準備が整ってしまいます。また、夜でも明るい都心部に棲んでいる猫などの発情期も狂いがちになります。発情シーズンがあるのはメス猫だけで、オス猫はまわりに発情期を迎えているメス猫がいれば、いつでも性本能に火がつきます。
 

メス猫の発情期の特徴や性成熟について

一般的に短毛の猫の方が性成熟が早く、早い子では生後5ヶ月頃から、多くは生後7~8ヶ月頃までに最初の発情がきます。長毛種の猫は、生後10ヶ月前後に最初の発情がくることが多いようです。

発情期のメス猫は、いつもよりも甘える仕草をみせる、いつも以上に人の体や家具などに身体をすりつけて回る、食欲がなくなる、しっぽの付け根をさわると前身を低くして腰を浮かせる、後ろ脚だけで足踏みをする、今までとは違う鳴き方をする、頻繁に陰部をなめる、トイレに行く回数が増える、トイレ以外で粗相をする、スキがあれば外に出て行こうとするなどといった行動を取ります。

猫によってはほとんど変化をみせず、人間が気がつかない程度の軽い発情期もあります。一番最初の発情は短い(約3~5日)傾向で、その後3~4週間程度の間隔で1週間~10日鳴くという風に発情を繰り返し、徐々に発情期の状態がエスカレートしていく猫が多いようです。満たされない欲求を繰り返すメス猫は痩せて、毛が抜けたり、毛づやが悪くなっていきます。

時々犬と混同して勘違いされるようですが、猫は発情中に出血しません。また、発情中のメス猫は、身体が異質な細胞(オスの精子)を受け入れる体勢が整って免疫力が落ちていますので、細菌感染に弱く子宮蓄膿症にかかる確率が高くなっています。もし発情していると思われる時期に出血していたら、それは子宮蓄膿症や膀胱炎など病気のサインです。至急獣医師の診察を受けてください。
 

オス猫の発情期の特徴や性成熟について

オス猫には周期的な発情期がありません。1年中いつでも、その気になった発情中のメス猫が側にいれば、子猫を作ることが可能。生後5ヶ月でお父さん猫になった短毛種もいますので、「まだまだ、子猫だから」と油断しないでください。まわりに発情しているメス猫がいなければ、オス猫の性本能の目覚めは遅くなる傾向ですが、それでも生後10ヶ月前後にはほとんどのオス猫がいつでもお父さんになれるでしょう。

オス猫の性成熟度が高くなると、オシッコの臭いが今までより臭くなります。しゃがんでするオシッコとは違うスプレーと呼ばれるマーキングを、あちこちに引っかけはじめる猫が多くいます。これは一種独特の目にしみるような異臭で、この臭いは洗濯しても落としにくいです。オス猫はシッポをピンと立て、立ったまま壁やカーテン、家具に向かって垂直にスプレーを飛ばします。ピュッと少し飛ばすだけのスプレーもありますが、下に水たまりができるほどたくさん引っかける猫もいます。それを日に何度も、あちこちにやられるので家の中は悲惨な状態になります。

性本能が活発になってくると、ホルモンが刺激されてシッポの付け根がベタベタと脂で汚れるようになってきます。これをスタッドテールと呼びます。スタッドテールがひどくなると、毛穴をふさいで膿を持つようになります。スタッドテールになってしまったら、できる限り清潔に保てるよう気を遣ってあげてください。一般のシャンプーだと脂をきれいに落とすことが難しいので、スタッドテール用のシャンプーなどを使った方がいいでしょう。

性本能が活発なオス猫は、絶えずメス猫の事ばかり考えているので、食欲が落ち痩せて腰骨が浮き上がってきます。何度もお父さんになったオス猫の顔は、ジョウル(顎まわり)が張り出し下ぶくれのような立派な二重・三重顎になっていきます。
 

猫の発情が起こったら……猫のお見合い

オス猫は、メス猫の発情に非常に敏感に反応します。飼い主がメス猫に発情が来ていることに気がつく前に、オス猫はアタックを開始します。しかし、猫の場合、どのオス猫を相手にするかの選択権はメス猫にあります。何を基準にどのオスを相手と決めるかは、そのメス猫のみぞ知るで、人間にはうかがい知ることができません。相手として選ぶ基準は、一番強い猫・(人間の価値判断での)ハンサムな猫……だけでもなさそうです。

オス猫がどんなに猛烈なアタックをしても、そのオス猫を受け入れないと決めたメス猫は頑として抵抗します。拒絶反応を食らったオス猫は、すごすごと引き下がらずを得ません。すばらしいことに、猫の世界には強姦が存在しないようです。
 

猫の発情が起こったら……猫の性交渉

メス猫は相手を受け入れると決めると、オス猫にお尻の臭いをかがせ前身を低くして腰を上げます。オス猫はメス猫の背中にまたがり、首を噛み身体を沈めて挿入します。ベテランのオス猫になると、ここまでの動作は数秒。

オス猫のペニスにはトゲトゲがあります。交配時にオス猫はメス猫の首を噛みます。交配時には、ペニスのトゲトゲと首を噛まれる刺激によって、その都度刺激排卵が起こります。ですからメス猫は多数のオス猫と交配することができ、父親の違う子猫を同時出産することが可能です。時々、この両親猫のカラーの組み合わせだったら生まれるはずがないカラーの子猫が生まれたという話を聞きますが、この場合はお父さん猫が複数いたというわけです。

発情が強すぎるメス猫は上に乗られただけで、横向きに倒れてしまいオス猫がなかなか挿入できない場合があります。また慣れていないオス猫は位置がわからず、何度も首を噛み直し、モゴモゴやっているうちにメス猫に愛想を尽かされることもあります。首の噛み具合をうまく加減できず、メス猫の首の肉をえぐり取ってしまうオス猫もいます。

挿入されると、メス猫は大きな声を上げます。射精までは1~4秒です。射精がすむとオス猫は機敏にメス猫から離れます。というのも、メス猫が爪や牙を出してオス猫(だけではなく、そのとき周りにいるものすべて)に攻撃を仕掛けるからです。1~2度爪を出した後、メス猫は背中をごろんごろんつけてのたうち回ります。

メス猫は発情中、何度でも交配を繰り返します。しかし、何度も交配回数を重ねたから受胎する子猫の数が増えるわけではなく、たった1回の交配で7頭を受胎することもあります。
 

猫の妊娠期の注意点やおすすめの餌とは?

初乳は必ず飲ませましょう
初乳は必ず飲ませましょう
猫の妊娠率は非常に高く、これはもともと単独生活をおくる猫族が種を保存するために備わった本能の強さだと考えられています。

妊娠3週目あたりから乳首が大きくなって鮮やかなピンク色に変化することを「ピンキング」といい、これで妊娠が確認できますが、まれに想像妊娠を起こす猫もいます。交尾してから4週以降であれば、エコーで胎児を確認できるようになります。妊娠初期の猫の日常生活は余り変化がありませんが、ピンキングが目立つようになるころから猫はよく眠り、食欲が増します。胎児の数にもよりますが、見た目でかっきり妊娠がわかるようになるのは、交尾後7週目の妊娠後期あたりからです。このころには、お腹の中で動く胎児を確認することができます。

出産の10日~7日前になると、急にお腹のふくらみが目立つようになってきます。出産が近づいてくると乳首から乳汁がでるようになり、横に張り出していたお腹が下に下がって、少ししぼんだように見えるかも知れません。もし長毛の猫であれば、出産の1週間程度前にお腹の毛を短めにして、子猫がお乳を飲みやすいようにしておきます。

妊娠がはっきり確認できたら食事を徐々に高カロリーのもの、子猫用/妊娠猫用などに切り替えていきます。このとき、キャットフード以外の余分な栄養素としてサプリメントなどを与える必要はありません。良質な高カロリーフードだけで充分です。妊娠後期になると胃が圧迫されて一度にたくさん食べられなくなる猫が多いので、ご飯の回数を増やします。

出産後約1ヶ月前後で次の発情が来て、また妊娠可能になりますので、タイミングが合えば1年に3回以上出産することも可能です。
 

猫の出産時の注意点や必要なお産セット

猫の妊娠期間は約63~66日前後で、1回に平均して2~7頭産みます。出産の1週間ほど前から、部屋の中をウロウロして出産場所を探し始めます。猫が落ち着ける場所に段ボールや衣装ケースで作った産箱を用意しててください。産箱は出産後の汚れらものから移し替えるために、2個用意しておきたいです。出産予定日の1週間~10日前にレントゲン撮影を行い、子猫の数や大きさ、母猫の産道の幅などの確認をしておいた方が安心して出産に望めるでしょう。

お産は病気ではないので、こうなって次はこうなる、と教科書通りには進行しません。わたしの経験では、猫の出産では逆子(足から先に出てくる)の割合が非常に高く、逆子の体勢によっては産道に子猫が詰まってしまい出てこなくなることもあります。妊娠がわかったらホームドクターに連絡を取って、万一の時に備えておいていただきましょう。

いつ出産が始まるかを予想するのは非常に難しいですが、多くの猫は出産の半日程度前から食事を摂らなくなります。出産間近になると、それまでお腹の中でよく動いていた子猫の動きが鈍くなって、固く感じられるようになります。出産1~2日前にはオッパイが突き出して、絞ると透明に近い乳白色のお乳がでます。オッパイが張ってきて、たれているように感じられます。

出産時には羊水や出血がありますので、ペットシーツやウエスなどをたくさん用意して汚れたら取り替えるか、上に敷いて猫の身体が濡れて体温が下がらないようご注意ください。

通常は10~40分程度の間隔で産み落とし、母猫は自分で羊膜を破りへその緒を噛みきります。初めて出産する猫や、痛みに弱い猫、依存度が高い猫は人に頼って産み落としたまま知らん顔をすることがありますので、いつでも手助けできるように準備しておいてください。陣痛は人間と同様に、間隔がどんどん狭まっていきます。その間、もし猫が嫌がらないようでしたらお腹をさするなど、力づけてあげてください。

子猫が生まれてから後産(胎盤)が出てきますが、子猫→胎盤と順番通りとは限らず、2~3頭子猫がでて、後でまとめて胎盤が出てくることもあります。胎盤は母猫に食べさせた方がよいといわれていますが、良質なフードを食べている栄養状態の良い母猫であれば、食べさせなくてもかまいません。むしろ胎盤を食べると、後で下痢をする猫が多いので、食べさせない方が無難かもしれません。

生まれた子猫の体重を量って、体重はその後毎日決まった時間にチェックした方がよいでしょう。出産後の母猫は必要以上触らない方がいいですが、すべての子猫がおっぱいを飲み始めたかどうかは、必ず確認しておきましょう。

【出産に必要なお産セット】
  • 消毒液(ヒビテン、薬用アルコール)につけた脱脂綿とへその緒を縛る糸
  • ハサミ
  • ペットシーツ
  • ティッシュペーパー
  • ゴミ袋
 

出産後の母猫と子猫の管理

子猫がすべて生まれたら、猫を別に用意しておいた清潔な産箱に移してあげましょう。出産したにおいで他の動物に襲われることを避ける本能で、出産して1~3日後あたりに子猫を別の場所に移したがる母猫が多いです。もし移動したがったら母猫の好きにさせ、母猫が落ち着いた場所に産箱をセットしてください。

母猫には静かな安心できる環境が必要なので、産箱の中はできるだけ薄暗くしてください。母猫によっては、人間が子猫を触ることを許さないことがあります。子猫を見たり触る時は、必要以上に母猫を刺激しないように短時間にしましょう。

母猫は子猫のお尻を舐め、その刺激で子猫は排泄するので、母猫がきちんと面倒をみていれば子猫の排泄の心配はありません。面倒見のよい母性本能の強い母猫は、子猫を舐めてピカピカにして、喉をゴロゴロ鳴らしながら授乳します。

生まれて2~3日は生理的体重減少があってもおかしくないので、体重が減らなければOKと考えます。子猫によってかなり差がありますが、1日5g~20g体重が増えます。可能であれば毎日子猫の体重をチェックして、増えが悪い子がいたら哺乳を試してみてもいいでしょう。たまに、出産のショックや、その猫自身の性質で子猫の面倒を見たがらない母猫もいます。しかし、出産後3~5日の初乳には高い免疫効果が含まれているので、この初乳はなんとしても子猫に飲ませておきたいです。お乳は、吸われないと出ません。最初は吸い方が下手な子猫たちも、健康であれば徐々に力強く吸えるようになります。

授乳中の母猫は、妊娠中より高栄養を必要としますので、高カロリーのフードをいつもより多めに与えてください。ただ出産後1~2日は、全く食べない子もいれば、出産中の中休み中にも食べたがる子もいます。出産後、授乳中は非常に喉が渇くようなので、いつも以上にたくさん水が飲めるように産箱の近くに用意してあげてください。

出産後の出血(悪露・おろ)は猫によって違いますが、数日~数週間断続的に続きます。たいていは黒っぽい粘りけのある出血ですが、もし鮮血が出たり量が多い場合は早急に獣医師に相談してください。

暑い時期に生まれた場合は、直接産箱に風が当たらないように注意してエアコンの除湿などで室温(27~28度程度)で管理してください。子猫の体温が高いため、暑い室内では母猫が子猫を抱くのを嫌がります。もし寒い時期に生まれたのであれば、今度は暖房が必要です。部屋全体を暖めなくても、産箱の下半分だけにペット用のホットカーペットを敷くとか、産箱の周りにカイロや湯たんぽを置いてあげても良いでしょう。

子猫の目は、生後5~10日頃に開きます。目の色はベビーブルーと呼ばれる灰青色。目が開いてもしばらくは膜がかかったような状態で、ほとんど見えていません。この時期は光に弱いので、生後3週目くらいまでは明るい光を当てない方が無難です。特に撮影時のストロボは御法度!

生後2週目に入ると、前脚がかなりしっかりしてきて身体を起こすことができます。後ろ脚は、まだ力を入れるとブルブル震えてしまいます。 短毛種の子猫の方が長毛種より早く脚がしっかりするので、生後2週目には歩き始めるでしょう。健康な子猫は、生後3週目くらいまでお母さんのオッパイだけで成長します。
 

猫の繁殖を考える前に知っておくべきこと

もしあなたが同居猫の繁殖を真剣に考えるのであれば、この知識以外に必要な勉強と準備が山のようにあります。しかし、単に今同居している猫を大切にしたい、健康で長生きしてほしいと望むのであれば、このような満たされない欲求をそのままにしておくことは、猫にとって非常に大きなストレスです。発情を繰り返すことで高くなる病気のリスクもありますので、計画的な妊娠・出産ができないのであれば、猫は不妊手術をした方が良いでしょう。

【関連記事】


■All Aboutで「毎月の家計」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※毎月5名の方にAmazonギフト券1000円分をプレゼント

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。