雑貨/ハンドクラフト・工芸

島根県 出西窯のうつわ(2ページ目)

民藝の心を受け継いだ窯元、出西窯を訪ねました。緑に囲まれた穏やかな場所で、豊かな気持ちになれそうな、生き生きとした器が作られていました。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

普通のものが気持ちいい

フランスのアンティークとも馴染みがいい。
結局持ち帰ったのは、ほんのり温かな質感の白いカップ&ソーサー。 出西窯は出西ブルーという、独特の青い色みを持つ陶器が特徴的で人気もあるようですが、 私の好みは、このとろりとした、クリームのような光沢のある白。 シンプルでどこにでもありそうな普通のものではありますが、女性的で緩やかな凹凸の曲線を持ち、ややヨーロッパ風の繊細なディティールです。 自分はあまり和の要素が強いものは苦手なので、 この程よい軽やかさがとても心地良く感じました。 過剰になり過ぎない、ギリギリのささやかで控えめな装飾がスタイリッシュです。 ずいぶん昔に買った南仏の土っぽい陶器やガラス器とも相性が良く、和とも洋ともつかない 素朴な田舎の風合いと、凛とした潔いフォルムに魅力を感じました。 持ち手は小ぶりなので、男性の指だと少し狭そうな感じですが、 女性には丁度良い持ち加減で安定感があります。

出西窯のカップ
マカロン2個乗せられる、少し広めのソーサー。


さっそく、いつもよりちょっと良い紅茶を淹れて飲んでみました。 縁の厚みは1mm強というところ。口当りが柔らかく、スルリと自然な感触です。 この触感は個人の感覚によるところも大きいですが、 私にとってはかなり快適でナチュラルなものでした。 また、ソーサーはカップに比べると若干大ぶりなサイズで、直径約14.5cm。 絶妙なバランスでソーサーとしての機能を果たしつつ、 真ん中に余計な凹みなどがないため、お皿として別に利用することも可能です。 カップを少し端にずらして、小さなお菓子を添えることもでき、 圧倒的に使い勝手の良いソーサーでした。 (家で普段に使うときは、ソーサーはいいや、と省略したまま使わなくなってしまいがちなので)。

出西窯のカップ
ソーサーはお皿としても普通に使えます。

出西窯は様々なところで紹介されている有名な窯元ですし、 使いやすい器であろうことは十分に予想できましたが、 それでもいざ、自分で実際に使ってみて、 改めて納得できる、心強い説得力がありました。 なんてことのないかたちに、ほっと安心感があって、きちんと機能を全うしてくれて、すこぶる気持ちがいい。 パッと見た感じはすごく普通な器ですが、普通であることは、案外難しいものかもしれないですね。


出西窯(しゅっさいがま)
島根県簸川郡斐川町出西3368  
tel 0853-72-0239
9:30~18:00
火曜定休(祝日の場合は開館)
http://www.shussai.jp/

器は全国の民芸館や民芸店、インテリアショップ等でも販売。



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