腰痛/腰痛の原因・しくみ・腰痛に潜む病気

注意!背骨・骨盤の歪み恐怖症

腰痛や肩こりの原因ともいわれる背骨・骨盤の歪み。ご自身の状態を知るためには目安となりますが、歪みを気にするあまりに、かえって体調を崩してしまう人も!

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

「背骨や骨盤の歪みがあると肩こり・腰痛になる」といったように、雑誌やインターネットでも様々な情報が溢れていますね。体の歪みは目安になるものですが、この「歪み」を気にしすぎて、心身に良くない影響を受けている人がいます。あなたは大丈夫でしょうか?

背骨・骨盤の歪みが常に気になってしまう

背骨・骨盤の歪みがどうしようもなく気になってしまう人がいます

背骨・骨盤の歪みがどうしようもなく気になってしまう人がいます

私も記事の中で「背骨・骨盤の歪み」と肩こり・腰痛の関係について書いていますが、関節の変形や先天的な問題の影響で、背骨に歪みが生じたり、足の長さに左右差が出てしまうこともあります。そうでない場合も、日常生活を送るうちに筋肉が部分的に緊張が生じて、結果的に背骨・骨盤の歪みとして表れ、鏡を見てご自身でも分かほどのこともあります。

見た目上、分かりやすく、セルフチェックがしやすいこともあり、生活のアドバイスや適した体操指導を伝える上での、ひとつの目安として「背骨・骨盤の歪み」は用いられることが多いのです。

ですが、私の所へ腰痛や肩こりの相談に見える方の中には、「歪み」に対して神経質になりすぎてしまい、日常生活の中で過剰な心配や不安として抱えてしまっている方もいます。こうした心理状態は、腰痛など症状のある部位の筋緊張を招くこともあるため、「かえって症状の回復に悪影響を及ぼしているのでは……」と心配になってしまうことも。

背骨・骨盤の歪みと関わる症状

骨盤が歪むとウエストのくびれの左右差も気になり…

骨盤が歪むとウエストのくびれの左右差も気になり……

雑誌やテレビ、インターネットなどの情報をチェックしてみると、背骨・骨盤の歪みと関連する症状やダイエットについて、様々な見方で述べられていますね。下記は中でも多く取り上げられているものになります。
  • 椎間板ヘルニアや骨の変性といった頚椎の疾患
  • 肩こり
  • 頭痛やかみ合わせの問題
  • 慢性腰痛やぎっくり腰といった急性腰痛症
  • 椎間板ヘルニアや骨の変性といった腰椎の疾患
  • 便秘
  • 太りやすい、むくみやすい
  • O脚・X脚
  • ボディーラインが崩れる
  • 歩き方が美しくない
まだまだ他にもありますが、痛みやコリはツライ症状ですし、「将来、歩けなくなるほど悪化したらどうしよう」と将来の不安を訴える人も。また、外見・スタイルに顕著に表れたりと、どれも気になるものばかりだと思います。何とかして歪みの無い体を手に入れたい、と思うのは自然なことかもしれませんね。

歪みを気にしすぎて陥る悪循環

中でも、首の痛みや肩こり、腰痛がしつこく慢性化した場合など、不安を掻き立てるような不快な症状を伴い、かつ歪みが気になって仕方がないケースでは、以下のような循環に陥りやすくなります。

1. 「背骨や骨盤が歪んでいるから、この痛みが治らないにちがいない」
症状が歪みに直結していない場合もあるのですが、強く思い込んでしまう傾向に。

2. 「絶対に歪まないようにしなくては!」
自分の何がダメなのか、あれもダメ、これも良くない……と自分に厳しくダメ出しをしてしまいます。

3. 「あらゆる日常動作が歪みに直結しているように感じて、日常生活での動作が制限される」
自分の行いに自信が持てなくなっていきます。

4. 「常に歪みの気になる部位に意識がいく」
神経質になり過ぎてしまうと、背骨・骨盤の歪みイメージが刷り込まれてしまいます。

5. 「十分意識をして気をつけているのに症状も歪みも改善された気がしない」
完璧を求めるあまり、たとえ症状が少し軽減していたとしても、気がつかないことも。

6. 「症状もつらいし、治らないように思えて不安になりイライラ…」
先が見えない不安感がつきまとい、心身の緊張状態が続いてしまいます。

歪みが現在の症状の原因ではない場合も

歪みを知り体操やストレッチの目安に!

歪みを知り体操やストレッチの目安に!

人間の体は、完全なる左右対称にはならないのですが、ある部位の筋肉の緊張が強くなってしまうと、見た目上、体が傾いて見えるようになります。背骨の上に線を引くと、線が曲がっていたり、骨盤の高さに左右差が強く出たりもします。

ですが、背骨の変形により背骨に歪みが生じている人に、必ずしも腰痛などの症状が見られないケースもあるように、「歪み=現在の症状の原因ではない」こともあるのです。ですから、徐々に気になり始めた見た目上の歪みは、体の緊張度合いや変化を把握するヒントのひとつとして考えるようにし、過敏になりすぎず、過剰に心配しないことが大切だと思います。硬く緊張している可能性のある筋肉のストレッチの目安にしてみましょう。

症状をこじらせないために

歪みを心配し過ぎて毎日がつまらなくならないように!

歪みを心配し過ぎて毎日がつまらなくならないように!

あまりにも歪むことを恐れてしまうと、いつもその部位が気になり、症状と不快な気持ちが絡んでしまい、さらに痛みを強めてしまう可能性があります。「病は気から」という状態に似ていると思いますが、例えば心因性の腰痛になってしまうと、腰への恐怖感無く過ごせるよう、自信を取り戻すまでに時間がかかってしまい、思うように体を動かせなくなってしまう恐れもあります。

「この動作をすると腰が痛む」「この姿勢は歪みをつくる」という意識がインプットされることで、積極的に体を動かすこともしなくなり、かえって血行不良や冷えを招いたり、筋肉量の減少につながったりもしてしまいます。こういったことに注意していただきながら、背骨・骨盤の歪み情報を読んでいただき、体調管理に役立てていただきたいと思います。
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