自殺者3万人台時代、そのわけは? 

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信じてきたものを急に失うと人は絶望する

9月10日は「世界自殺予防デー」。10日から16日までの1週間は「自殺予防週間」になります。昨年(2009年)1年間の日本の自殺者数も3万人台(32,845人、警察庁統計)になり、12年連続年間自殺者数3万人台が続いています。

わが国にこれだけ自殺者数が増えたのは、なぜでしょう?

自殺者数3万人台となった最初の年は1998年ですが、前年には山一証券や北海道拓殖銀行の破綻があり、バブル崩壊から始まった不況の絶望感が極まった年でもあります。同時にIT化導入やグローバル経済への移行等、社会の高度情報化、そして産業構造の大変革が本格的に始まった時期でもあり、それを受けて多くの企業で人事制度改変(年功序列制、終身雇用制の廃止、成果主義の導入、雇用の多様化等)も本格的に始まった時期でもありました。

こうしたなか企業では雇用調整が始まり、特にリストラの対象とされた50代を中心とする中高年層の男性にうつ病が増えました。また、この層を中心に自殺者数も増えていったのです。


景気に希望が見えても自殺者数は変わらない 

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正社員は疲弊し、非正規は困窮する

その後、1999年から2000年にかけてのITバブルや、2002年から6年近く続いたいざなぎ越え景気、その後の不動産ミニバブルなど、一時的ではありながらも景気回復による希望が感じられた時期もありました。

しかし、景気回復が期待されたその時期でも「3万人台」の自殺者数は変わることなく維持され続けました。うつ病を含む気分障害の患者数も増加し続け、働き盛りである30代、40代にも自殺が目立つようになりました。

30~40代の働き盛り世代では、雇用スタイルの多様化により、正規職員には管理業務、IT化、グローバル化に対応した技能と知識の超高度化が求められるようになり、業務量も精神的負担も増える傾向が強まりました。一方で、非正規職員や自由業者、自営業者には安定的、永続的な雇用や受注が見込まれずに、報酬額の減少も顕著になり、貧困に直面する人も増えてきました。

このように、就業スタイルに関わらず精神的に追い込まれるケースは増大し、この流れは抜本的な対策を打たない限り、続くであろうと予測されます。