自殺が起きる背景には、多くの場合、うつ病があります |
日本は自殺大国
日本の自殺者数は今年で8年連続3万人超と報告されました。これは交通事故による死亡者数をも上回っています。人口10万人あたりの自殺者で表される「自殺率」は驚くべきことに25.5。これはアメリカの2倍以上、世界でも、旧ソ連諸国と共にトップレベルの数字で、日本が自殺大国と言われる理由にもなっています。
高い自殺率の背景には、バブル崩壊後の日本社会が急激な変容があります。年功序列型の終身雇用の崩壊や成果主義から、勝ち組・負け組といった言葉で表されるストレスの強い社会への移行もあるのではないでしょうか。旧ソ連諸国の高自殺率も共産主義が崩壊し、競争主義の市場社会へ移行していく中で、国民が不安定な社会から非常に大きなストレスを受けている為だと思われます。
自ら命を絶たれた人は、このようなストレス社会で、何らかの困難な問題に直面されていたと思います。自殺された時点において、大部分の人は心の健康を損なって、心の病気、特に、うつ病の状態になっていると言われています。
うつ病になると生じやすい、死にたい気持ち
うつ病は最もありふれた心の病気の1つで、一生のうち、うつ病にかかる人は14人に1人とも言われています。うつ病になると、気分の落ち込みと共に以下のような症状が出現します。・ 今まで楽しめていたことが楽しめなくなる
・ 何をするにも億劫になる
・ 疲れやすい
・ イライラしやすい
・ 集中力が低下する
・ 自責の念が強くなる
・ 食欲、睡眠に変調が生じる
人生を楽しめなくなり、自分が価値のない存在で、周りの人に迷惑をかけているといった考えで頭がいっぱいになると、死ぬことが苦しみから逃れる為の解決策に見えやすくなります。これは決して、健全な心で生みだされる考えではありません。うつ病では、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きに異常が生じるので、自殺願望を生み出してしまうのです。
>>次に、自殺のリスクを高める因子、自殺の前兆について述べます>>