何を対しても無気力……これって心の病気なの?
どうにも気持ちが乗らない、楽しいことをしていても冷めたまま……。もしかしたら、アパシー状態に陥っているかもしれません
どうにも気持ちが乗らないことはありませんか? 例えば、仕事にとりかかってもモチベーションが上がらず、仕事が片付いても片付かなくても、どうでもいいような気持ちになってしまったり、友達と遊びに行っても、相手だけ盛り上がっていて、自分の気持ちは冷めたままだったり……。
このように意欲・感情・情熱が冷めて、無気力になってしまう状態のことを「アパシー(apathy)」と言います。わかりやすく解説してみましょう。
アパシーとは……無気力・無関心になってしまう心の状態
アパシーとは、「無気力・無関心な状態になってしまうこと」と言えます。アパシーに陥ると、普段なら感情が動かされるようなことに対しても、気力や関心がわかなくなってしまいます。アパシーは誰にでも起こりうるもので、一時的にアパシーになるのは、生きていればよくあることです。いわゆる五月病なども、アパシーの一種と言えるでしょう。一方で、アパシーが長引くと、何にも関心を持てず、家に引きこもってしまうなど、症状が深刻化する恐れもあります。アパシーのきっかけはさまざまですが、例えば、散歩を一番の楽しみにしていた犬が、ある日を境にずっと鎖につながれたまま、どこにも連れて行ってもらえなくなったら、どうなってしまうでしょうか? 気持ちが満たされない中で、次第に他のことにも興味を失い、何の反応も示さなくなっていくかもしれません。もちろん犬と人間は同列には扱えませんが、楽しさや生きがいを見出せなくなった時や、現実と理想とのギャップに戸惑った時、生き物は失望感や無力感を覚えやすくなります。
アパシーに特徴的な症状・セルフチェック法
アパシーの予防・対策のポイントは、まずは自分自身でその症状を認識すること。自分で気づくことがアパシーから抜け出す第一歩になります。アパシーに特徴的な症状は以下の7つです。当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。- 感情の量が低下したと感じる
- 感情の起伏が小さくなったと感じる
- 意欲や自発性が低下したと感じる
- 今まで通りの情熱で物事を行えない
- 家族や仲間など相手と一緒に過ごす時間を楽しめない
- 身の周りの出来事に無関心になった
- 自分がしていることの結果に関心がなくなった
アパシーの予防法・対処法……自分に合ったストレス解消が一番
アパシーは多くの場合、ストレスに対する一種の現実逃避です。上記のような症状は、ストレスによる心のダメージを防ぐための心の自然な反応でもあります。例えば、ご家族に不幸があった時、あるいは引越しや入学、就職、転職など自分を取り巻く環境が大きく変化するのは大きなストレスになります。アパシーはこういった状況で、生じやすくなるのです。また、私たちが暮らす現代社会は、以前にもまして短期間でしっかり成果を出すことが求められています。これもアパシーが生じやすい素地になっていると思います。
もしそうしたストレスが自分に押し寄せてきた時、普段からどう付き合っているかがアパシーを予防するカギになるでしょう。ストレスの発散法や対処法は、「好きな音楽を聴く」「ジムで汗を流す」「ショッピングを楽しむ」など、人それぞれだと思いますので、自分に合った、最適なストレス解消法を見つけましょう。
アパシーの状態がひどく、症状が長引く場合は、病院受診を
アパシーは時に病気の症状として現われることがあります。例えば、うつ病、統合失調症、薬物中毒、あるいは認知症、パーキンソン病、脳梗塞など、さまざまです。こうした場合、アパシーの原因になっている病気を治療する必要があります。もしアパシーが長引いている時には、こうした病気の可能性もぜひ考慮したいところです。誰かに相談したい方や心配な方は気軽にお近くの病院を受診してみましょう。
「自分にはアパシーなんて関係ない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、人生において、アパシーの時期は必ず来るものと覚悟しておいた方がよいです。例えば現在、仕事も家庭も充実した毎日を送っている人でも、退職や子供たちの巣立ちを気に、寂しさや虚しさを覚えてしまうといった例はたくさんあります。備えあれば憂いなしです。ストレスへの上手な対処法を普段から磨いておくとともに、自分が情熱をもてる対象を大切に育てていきましょう!