ダニやほこりなどの環境面は改善されてきているはずなのに、アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)は増える一方。この原因は一体何なのでしょうか? 漢方ではストレスや内臓の働きに着目し、肌の症状にあわせてアトピー対策法を考えます。

「ストレス」や「内臓機能の低下」が原因でアトピーが増加!?

肌は内臓の鏡。アトピーも内臓や精神状態に大きく左右される

肌は内臓の鏡。アトピーも内臓や精神状態に大きく左右される

東京都福祉保険局の調査によると、都内の3歳児で何らかのアレルギー症状を持ち合わせている幼児は1999年の調査では41.9%だったのに対し、2004年度は51.5%に増加。その中でも20.5%の3歳児がアトピーに悩んでいるとのだそうです。

除菌文化の進んだ日本では、一昔前よりもダニやほこりなどが少なくなってきているはずなのに、なぜアトピーは増えているのでしょうか?

実はストレス社会と、免疫力低下、そして胃腸の働きの低下が大きく関わっているのです。

ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、免疫システムを正常に保つことができなくなり、今まで反応しなかった花粉やダニ、ほこりなどに反応するようになります。自律神経のバランスの乱れによってカラダは余計な熱をもち、熱が炎症の素となって、色々なものに反応し始めるのです。

また、もともと胃腸の働きが弱いと、食べものが上手く消化されないまま血管へと入り込み、それが異物としてカラダに捉えられてしまうことも。胃腸が弱いために食べたものを栄養に変えることができず、うまく血を作ることができない人もいます。そういった人は、皮膚を潤す血が足りない状態(血虚)となり、カサカサしたり乾燥した状態のアトピーになりやすいでしょう。

アトピーは皮膚の問題だと思われがちですが、実はストレスや内臓の働きの影響をかなり受ける病気なのです。

漢方で解く! アトピーの代表的な4タイプ

■現代人に多い、ストレスで悪化するタイプ
ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、免疫システムを正常な状態に保つことができなくなるために、いろいろなものに過剰に反応してしまいます。ストレスによって症状が増減するのが特徴で、社会人になってから発症する、大人アトピーに多いタイプといえます。

具体的な症状としては、肌の赤み、かゆみ、ストレスによって肌アレが悪化する、胸や脇が張る、肩こり、便秘と下痢を交互にくり返す、寝つきが悪い、味・匂いに敏感など。このタイプは漢方薬での治療とともに、ストレスへの対処方法を考えていくことがポイントです。

処方例には、加味逍遙散(かみしょうようさん)や柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)など。どれも、ストレスに関連の深い臓器である「肝」の熱を冷ましてくれる作用があります。

■梅雨時に悪化しやすい、ジュクジュク肌タイプ
日本人に多いタイプがコレ。胃腸の働きが悪かったり、お酒を多く飲むなどの飲食の不摂生で体内に余計な水分がたまり、その余計な水分が皮膚表面にも影響がでて、ジュクジュクしたアトピーになってしまいます。

余計な水分がたまっているため、湿気の多い梅雨時にアトピーが悪化するのが特徴。このタイプは食生活を見直しが必要です。甘いもの、脂っこいもの、生ものは控えるようにしましょう。

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)や黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などが代表的な漢方です。赤く盛り上がった湿疹や水泡をつぶすと汁が出るような、ジュクジュクしたアトピーに用いられます。

■秋~冬に多くなる、カサカサ乾燥タイプ
乾燥が強くなる秋から冬にかけて悪化しやすいのが、このタイプ。胃腸が弱く、うまく血を作れないために、お肌を潤す成分不足で発症します。秋口に向けて、夏場にしっかり&たっぷり保湿しておくと症状も和らぐでしょう。

皮膚の乾燥、フケ、強いかゆみ(赤みは軽い)、かいても汁は出ない、爪がもろい、髪が抜けやすい、顔色につやがない、立ちくらみ、疲れやすいなどの症状があれば、当帰飲子(とうきいんし)、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)がオススメです。

これらの漢方は足りない血液や水分を補い、肌に潤いを与えてくれます。慢性的な湿疹にも使えますよ。

■乳幼児から発症し、腎の機能が弱いタイプ
先天的にカラダが弱く、成長発育が遅れている子供や、小さい頃からアトピーをひきずっている人に多く見られます。

生命力を司る腎臓の働きが弱いために水分をうまく吸収することができず、余計な水分が体内にたまって皮膚にも影響がでてしまいます。

このタイプは、皮膚をかいても汁が少なかったり、皮膚の乾燥やかゆみが強くなります。皮膚以外の症状では、風邪にかかりやすかったり、足腰が弱い、元気がない、虫歯が多いなんてことも……。

漢方薬では腎の機能低下にいい六味丸(ろくみがん)に補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を加えたり、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)などを処方したりします。

アトピー性皮膚炎の改善で、漢方薬以外の大切なコト

アトピーは改善したと思ったらまた症状が出たりするため、根気よく適切な治療を行うことが重要。治療そのものに対して疑心暗鬼になりやすく、いろいろな治療方法を試してはやめて……という治療方法の変化が病状を悪化させているケースも少なくありません。

また、多くの人がアトピーのためにますますストレスを増幅させてしまったり、暴飲暴食や胃腸虚弱などの体質を持ち合わせています。根本的な治療によって内臓の働きを改善させるとともに、ストレスの解消方法を見つけるなど、生活面も合わせて変えていくことがとても重要です。

なお、このほかにも血行不良など、アトピーの原因や症状はさまざまです。漢方薬を試してみたい場合は、必ず漢方の専門家に相談くださいね。


参考:アレルギー性疾患に関する3歳児全都調査(東京都福祉保険局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/kankyo_eisei/allergy/allergy/c_naiyou/3saichou/index.html
 

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