カモガヤ、ムギ、イネ……イネ科の花粉のピークは年2回
川沿いや田んぼに見られるイネ科
2008年の調査によると、スギ花粉症の人は26.5%、スギ花粉以外の花粉症の人は15.4%です。この中には、イネ科とキク科の花粉による花粉症が含まれていますが、これは決して少ないわけではありません。
5~9月頃に花粉が飛ぶイネ科。イネ科には、カモガヤ、ハルガヤ、ムギ、イネ、アシ、ススキ、ネズミホソムギ、ネズミムギ、ホソムギ、オニウシノケグサ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウなどが挙げられます。
イネ科の花粉は、その種類に寄りますが、ピークが2回あります。5~6月と8月~9月です。ほとんどは、5~6月に飛散量が最も多いです。
イネ科の植物は、背が低く、川沿い、堤防、水田などに生育しています。背が低いため、飛散する距離がスギより短いのが特徴です。つまり、広く飛ぶ事はありません。
花粉は、気温が高くなる頃、早い年では5月から飛散します。
イネ科の花粉症の症状
イネ科の花粉症の症状も、スギ花粉症と同じ。主な症状は- くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- 目のかゆみ・充血
また、イネ科のアレルギーがある場合、アナフィラキシーと言って、喘息などの呼吸困難、じんましん、嘔吐などの症状を起こす事があります。小麦もイネ科なので、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの危険もありますので、注意が必要です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは、特定の食べ物を食べて、数時間以内に運動すると、喘鳴、咳、じんましん、嘔吐、吐き気、血圧が低下して、顔色が悪くなります。イネ科花粉症の人は、ピーク時にイネ科が多く茂っていそうな堤防などをジョギングすることは避けた方がいいかもしれません。
イネ科の花粉症の検査法・診断法
まずは、症状がいつ、どれくらい続いているのかが大事になります。5月~6月に2週間以上、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血がある場合は、イネ科花粉症の疑いがあります。アレルギー性鼻炎があるかどうかは、鼻の粘膜を診察し、鼻水の中に含まれるアレルギーで増える白血球である好酸球の数を検査します。
アレルギー性鼻炎の原因が、イネ科かどうかは、血液検査を行います。イネ科の花粉に対するIgEというタンパク質の量が一定量増えていて、陽性であれば、イネ科花粉症の可能性が高いと言うことになります。
現在、イネ科花粉で検査可能が植物は、カモガヤ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ギョウギシバ、オオスズメノテッポウ、セイバンモロコシ、ホソムギ、ナガハグサ、ヒロハウシノケグサ、アシ、コムギ(属)、スズメノヒエ(属)、コヌカグサ(属)になっています。
カモガヤに対するIgEが陽性になっている人は、北海道・東北で24%、関東で26.8%、東海で42.7%、近畿で36.7%、中国・九州で35.4%でした(鼻アレルギー診療ガイドライン2013より引用)
イネ科の花粉症の予防法・治療法
スギ、ヒノキの時期が終わってから、花粉症の症状が出た場合、血液検査をし、イネ科花粉症と確認する必要があります。イネ科花粉症の予防と治療は、基本的には「花粉症対策と治療」と同じです。
- 外出時にはマスクや眼鏡をする
- 水田、堤防が近い場合は、窓を開けると、イネ科花粉が入ってくるので、窓を閉めておく
- 水田、堤防が近くない場合は、イネ科の飛散距離は短いので、衣服についた花粉が家に侵入します。侵入した花粉を除くために家を換気する
- 堤防・水田などではジョギングなど激しいスポーツは避ける
花粉症の基本は、周りの花粉を減らす、花粉の体内への侵入を防ぐ、花粉症の症状を和らげるの3点です。
花粉症の治療について、さらに詳しく知りたい方は、「自分でできる花粉症対策」を併せてご覧下さい。また、「花粉症重症度チェック」で自分の重症度を確認してみましょう。