睡眠薬の悪用が増えている?

良いものも、使い方を間違えると大変なことに

良いものも、使い方を間違えると大変なことに

海外旅行で訪れた外国の酒場で、見知らぬ美男美女にお酒を勧められ、飲んでいるうちに急に意識を失い、気がついたら財布やパスポートがなくなっていた……。

いわゆる睡眠薬強盗や昏睡強盗は、海外旅行の際の注意事項ですが、最近では日本国内も安心できなくなってきたようです。

2010年には鳥取県や首都圏で、睡眠薬を飲ませて人を殺した疑いで女性が逮捕されています。この報道を知って、お金を取られるだけならまだしも、殺人事件にまで発展していることに驚かされました。

鳥取県の連続不審死では、複数の男性が川や海で水死し、遺体から睡眠薬の成分が検出されました。首都圏の事件では、レンタカーの中で一酸化炭素中毒のために死亡した人や、火事で焼死した男性の遺体から、トリアゾラムなど睡眠薬の成分が検出されています。警察では、容疑者の女性が睡眠薬を飲ませた後に死亡させた可能性がある、と見て捜査しています。


睡眠薬自殺は過去の話

医師が処方する睡眠薬は、かなり安全になりました

医師が処方する睡眠薬は、かなり安全になりました

テレビドラマでは、睡眠薬を飲んで自殺するシーンが今でも見られます。でもこれは昔のことで、今の睡眠薬では、ちょっと無理な話です。

1960年代までは、バルビツール酸系睡眠薬が主に使われてきました。この薬は、催眠効果が出る血中濃度と、呼吸が止まってしまう致死量にあまり差がありませんでした。

そのため、医師に処方された2週間分の薬を一度に飲むだけで、生命に危険が起こりかねません。芥川龍之介も、バルビツール酸系睡眠薬で自殺したと伝えられています。

現在、医者でもらう睡眠薬の大半は、ベンゾジアゼピン系あるいは非ベンゾジアゼピン系の薬です。これらは、十分に強い催眠効果がありますが、危険な副作用は格段に少なくなりました。バルビツール酸系睡眠薬と違って、たくさん飲んでも長く眠るだけで、死ぬ危険はほとんどありません。鳥取県や首都圏での事件でも、睡眠薬で眠らされた被害者は、薬の作用だけで死んだわけではなさそうです。


睡眠薬は正しく服用を! ルールを守って飲みましょう

寝酒は、ナイト・キャップとも言いますが…

寝酒は、ナイト・キャップとも言いますが…

最近の睡眠薬が安全になったとはいえ、その使い方を間違えると危ないことになります。

睡眠薬を飲むと、その後しばらくの記憶がなくなることがあります。意識が朦朧となって、知らないうちにケガをすることもあります。

鳥取県の事件の被害者も、この状態で川や海に入れられた可能性があるようです。睡眠薬を飲むときには、後は眠るだけという状況にして、なるべく早く布団に入りましょう。

眠れないときに、欧米人では睡眠薬を飲む人が多いのですが、日本人はアルコールに頼る傾向があります。寝酒と睡眠薬のどちらが危険かというと、寝酒のほうが健康に良くありません。睡眠薬代わりにアルコールを飲むと、次第に効果が弱まってくるのでアルコールの量が増え、ついにはアルコール依存症になる危険性が指摘されています。

さらに問題なのは、アルコールと一緒に睡眠薬を飲むことです。現在、主流のベンゾジアゼピン系あるいは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、単独なら安全ですが、アルコールと併用すると薬の効果や副作用が強く出ます。アルコールと睡眠薬の合わせ飲みは、絶対にしないで下さい。
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