精神科の受診が初めてで不安という人も、初診の内容を知っておけば安心です
心の病気の症状の一つ一つ、例えば、「気持ちが冴えず、やる気が出ない」「イライラして物事に集中できない」などは日常生活においてしばしば現われる事でもあり、心の病気と日常的な心の不調とを分かつ境界には曖昧さがあります。基本的には、症状の深刻さ、持続期間によって両者は区別されます。
日常的な心の不調は時間を置けば元に戻りますが、一旦、心の不調が、心の病気のレベルに達してしまうと、放っておけば症状はより悪くなりやすく、心の不調から回復する為には治療が不可欠です。
初めての精神科の基礎知識として、精神科(または神経科)の初診で聞かれやすい事をわかりやすくまとめました。
初診では診断、治療計画を定めるために詳細な情報が必要
心の病気の診断は、血液検査やMRI,CTなどの画像所見の結果によって定まるのではなく、患者さんとの問診を通じて得られる情報に基づきます。心の病気の症状の一つ一つ、例えば、気分の落ち込み、イライラなどは日常的な心の不調時に現われる事であり、心の病気のレベルか、それとも、日常的な心の不調であるかを判別するためには、症状の深刻さ、持続期間を問診を通じて、評価する必要があります。心の病気が発症する原因には体質的、環境、心理的要因などが複雑に関わっています。心の病気の体質的な要因、例えば、脳内神経伝達物質の受容体の構造は基本的には遺伝子によって定まるので、家族や近親者で同様の状態になった人の有無は重要な情報となります。環境、心理的要因として、例えば、引越し、入学、就職や失恋、離婚などの有無、さらには、、子供の頃にトラウマとなる辛い体験がなかったか、また、脳に影響を及ぼす可能性のある頭部外傷、感染症の有無など広範かつ詳細な情報に基づき、心の不調が心の病気のレベルであるかどうかが診断されます。以下に、初診の問診時によく聞かれる事をまとめてみます。
- 一番、困っている症状
- 今回の症状はいつ頃始まったか、症状の内容、きっかけの有無など 、今回の症状についての詳細な内容
- 家庭や職場などの生活環境
- どのようなライフスタイルを送ってきたかなどの生活歴
- 幼少時の発育環境
- 過去の心の病気の有無
- 家族や近親者の心の病気の有無
- 身体的な病気の既往歴
また、ご本人のみならず、ご家族からみて、本人がどのようであるかという事も重要な情報です。もしも、ご家族の方が付き添えるのなら、一緒に来院されるのが良いと思います。問診以外には、神経系に問題がないかどうかチェックする為に、眼球運動や手足の動きや反射などを診る神経学的検査などが行われます。
初診で診断が確定し、治療方針が定まった場合、薬物療法が必要ならば、薬が処方されます。なお、治療薬の効果にはいわゆる相性というものがあり、個人個人によって、治療薬の効果に違いがでる事は少なくありません。もしも、過去にどのような治療薬が使用されていて、効果がどうであったかという事は治療薬を選択する際の重要な情報になります。
もしも、心の不調が日常的な不調のレベルではなく、心の病気による場合は、継続的な治療が心の不調から回復するために不可欠となりますので、治療期間は個人個人の症状の状況によりますが、通院は必要になります。
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