通院が主な過食症治療ですが、下剤などの濫用がひどい場合は入院が必要になることもあります
正しくは「神経性大食症」という過食症。拒食症と同じく主に若い女性に見られる病気です。
思い切り食べることでストレスを発散して後で後悔するということは、健康な人にもあることですが、この行動が過剰で習慣化している場合、過食症を発症していることがあります。
過食症の治療法について詳しく解説します。
外来通院・入院による過食症治療
過食症に特徴的な症状は、コントロールの効かない大食と、その行動をなかったことにしようとする嘔吐や下剤依存などの代償行為が繰り返されること。同時に気分の落ち込みや強い不安感などの心の問題を生じやすく、これらの心の問題が過食症を悪化させやすいので、適切な治療を受ける必要があります。
拒食症の場合とは異なり、過食症では生理活動を損なうほど深刻な低栄養状態になることはまれ。そのため通常は拒食症治療のような入院はせず、外来通院によって心理療法、薬物療法による治療を行います。
しかし、以下のような場合は入院を検討します。
- 大食の衝動が制御不能である
- 自殺願望が認められる
- アルコール依存など深刻な薬物依存がある
- 嘔吐、下剤、利尿薬などの濫用で血中の電解質バランスが大きく崩れている場合など
心理療法による過食症治療
大食衝動には、自分に自信が持てなかったり、家庭内の葛藤などの心理的問題があることが多いです。大食の衝動に抵抗するためには、自己の心理的問題や病的心理を理解すると同時に、大食の衝動が生じやすい状況、思考、気分のパターンなどを理解し、大食衝動への抵抗性を高める訓練が望ましいです。
例えば、身体的なコンプレックスを感じた後で食事の準備をすると暴食が始まってしまうとわかったなら、コンプレックスを感じた後は一人にならない、食事の準備などの家事をしないなど、大食しやすい状況を避けることができます。食べている時ではなく、食べた物を吐き出すときに気分がすっきりするとわかれば、傷ついた心の痛みを嘔吐以外の方法で修復する練習が必要になります。また、根本的なコンプレックス自体も、過剰に意識しないよう治療を受けることもできます。
薬物療法による過食症治療
大食の衝動は心理的問題だけでなく、神経科学的な問題、特に脳内神経伝達物質の一つであるセロトニンの働きも関連しています。セロトニンは、うつ病の発症にも深く関連する脳内神経伝達物質ですが、過食症の場合、うつ病を合併することが少なくありません。心理療法のみで過食の衝動がコントロールできない時やうつ病を合併している時には、セロトニンの働きを調整する治療薬を使用します。
多くの場合、過食症は適切な治療で完全治癒が期待できますが、未治療のままで大食と代償行為がを続けていると、病気が慢性化しやすくなります。もし我を忘れるような大食と激しい自己嫌悪による嘔吐などが、週に1回以上続いている場合は、一度精神科(神経科)を受診してください。