生死に関わるようなトラウマ体験はフラッシュバック、悪夢などの形で過去から蘇えってくる事があります

生死に関わるようなトラウマ体験はフラッシュバック、悪夢などの形で過去から蘇えってくる事があります

自然災害、戦争、交通事故、暴力事件の被害など生死に関わるような体験は心にショック反応を起こします。多くの方は体験後のショック状態から時間と共に回復していきますが、時には心に起こる障害が慢性化してしまう、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる状態になる事があります。

PTSDは過酷な戦闘をしたベトナム戦争帰還兵に見られた心の障害への病名でしたが、その後、PTSDは戦闘体験に限らず、性的暴力や家庭内での虐待などからも生じる事が明らかになりました。今回はPTSD(心的外傷後ストレス障害)についてお話したいと思います。


PTSDの症状

PTSDでは過去のトラウマ体験は現在も続いています。フラッシュバックや悪夢などの形でトラウマ体験時の恐怖感、無力感が蘇えります。また、その体験を想起させるようなモノや状況に遭遇すると不安反応が起こり、精神的にも過敏な状態になっています。以下にPTSDの症状をまとめてみます。

トラウマ体験が現在も続く症状
  • トラウマ体験のイメージや感覚が頭に入り込んでくる
  • 悪夢としてトラウマを再体験する
  • トラウマ体験のフラッシュバック現象
  • トラウマ体験を想起させるような状況で生じる恐怖、不安反応
     
トラウマ体験による感情の麻痺や、体験を想起させない為の回避行動
  •  トラウマ体験を想起させるような場所やモノを避ける
  • トラウマ体験時の完全な記憶がない
  • 意欲は全般的に低下し、孤立感が強まる
  • 感情が鈍くなる
  • 将来の展望が見えなくなる
精神的な過敏さ
  • 寝つきが悪く、睡眠が浅い
  • イライラや怒りを表出しやすい
  • 集中力の低下
  • 過剰の警戒感
  • 背後の物音、照明の点灯などの刺激への過剰の反応
次に、PTSDの治療について述べます。


PTSDの治療法

PTSDではトラウマ体験は過去に終わった出来事ではなく、悪夢やフラッシュバックの形で現在も続いています。トラウマの記憶は抑圧しようとしてもできるものではありません。トラウマを過去のものとして終わらせる為にはその記憶に正面から向き合う必要があります。

PTSDに対する心理療法ではトラウマ体験について話し合う事によって、恐怖や不安の反応を増幅させている不合理な考えや思考パターンを見つけ出して訂正し、また、段階的にその体験を想起させるような刺激に接する事によって、それから生じる恐怖や不安の反応を和らげていきます。また、不安や気分の落ち込みなどの症状の具合により、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法が必要となります。

生死に関わる恐ろしい体験は起きて欲しくない事ですが、人生には何が起きるか予測できない面があります。恐ろしい事態に直面した時の恐怖感、無力感がPTSDのように心に重大なダメージをもたらし得る事は是非知っておきたい事だと思います。
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