力仕事・肉体労働が原因で起こる腰痛・ぎっくり腰
重い荷物を持って運んだり、作業道具を使って反復作業をしたり……。力仕事では腰の筋肉疲労を生じやすいものです
1日中座りっぱなしのデスクワークで、体を動かす時間が極端に少ない場合にも多い腰痛。一方で引っ越し作業や工事現場、倉庫などで体をハードに使う力仕事でも、腰痛やぎっくり腰は深刻な問題となっています。
いわゆるガテン系と呼ばれるような肉体労働だけでなく、華やかに見えるショップ販売員の仕事などでも、ダンボールに詰めた商品を運び出したり並べたりと腰に負担のかかっていることも多いようです。今回はこうした力仕事における腰痛対策・予防法について詳しくお話しましょう。
腰への負担が大きく疲労が蓄積しやすい肉体労働・力仕事
重い物を運んだり、足場の悪い路面を歩き回ったり、しゃがむ姿勢での作業が多かったりといった肉体労働は、腰への負担が高く、腰部に疲労が蓄積しやすくなります。仕事中は目の前の資材を抱えて運んだり、周りのスピードに合わせて精力的に作業を進めたりする中で痛みを自覚しにくい人も少なくないようですが、実際は筋肉にも関節にも負荷がかかっているもの。1日の終わりに疲労が解消されていないと、徐々に腰などを痛めやすい状態になっていきます。
力仕事で腰痛・ぎっくり腰の原因になりやすい作業・動作
いつものように仕事現場へ到着し、ただしゃがもうとしただけなのに腰を痛めてしまい、その場から動けなくなったという話はよく聞きます。ぎっくり腰に至るまでに、それなりに無理を強いられていたと思うのですが、本人が原因に気が付かないことも多々あります。では、どのようなことが、腰への負担を蓄積させている原因となりえるのでしょうか?
■腰痛・ぎっくり腰の原因となりやすい作業・動作
- 重い物を抱えての移動動作
- 重い物を体の脇に抱えたり、肩に担いでの作業
- 手を高い位置に伸ばしての作業
- しゃがんだ状態での仕事
- 足場が不安定、地面がでこぼこしている場所での作業
- 冷え切った寒い環境での作業
- 傾斜のある場所で、足を踏ん張っての作業
- 腰の周りに、作業道具をつけての作業
- 台車を押したり引いたりすることが多い作業
- 夜勤や早朝出勤があり、体が休まらない仕事環境
- 前かがみ姿勢での作業が多い仕事
足・ふくらはぎ・腹筋への負担が腰痛・ぎっくり腰につながることも
上記のチェック項目でもお分かりいただけたかもしれませんが、単純に重い物を運ぶといった作業だけでなく、足の疲労や偏った足の筋肉の使い方が腰へ悪影響を及ぼすこともあります。ふくらはぎがパンパンになると足首の動きも硬くなり、足の機能低下により腰を支えが不安定になることも原因として挙げられるでしょう。また、腹筋が弱くなると太もも裏の筋肉であるハムストリングスが優位に働き、骨盤を後方へ傾けることも分かっています。一時的なものであれば良いのですが、この状態が常に続くと、腹筋の弱さが増しその結果、腰を痛める可能性が出てきてしまいます。
力仕事による腰痛・ぎっくり腰予防法・対処法
じっとしているよりも体を使う仕事の方が腰が楽だという人もいますが、それも全ての人に当てはまりませんし、作業の強度や環境、時間帯にも左右されます。荷台に荷物を乗せ運ぶ作業は、抱えるよりも負担が少ないように思えますが、腰部の筋肉が疲労した状態では、荷台を後ろ向きに引っ張る動作をすると、背部の筋肉の負荷が増し痛めるケースもあります。腹筋に力を入れ、荷台を前方へ真っ直ぐに押すほうが痛める可能性は減ります。同じ作業をする場合でも、以下のように注意することが予防・対策に効果的です。
■力仕事をする際の動作のコツ・腰痛予防法
- 物を持つ時は、体の中心に荷物の位置がくるように抱える
- 荷台を移動させる時は、引くよりも押す
- 物を移動させる時は、ヒザを軽く曲げ腰を意識して行う
- 腰周りに作業道具を身につけている場合は、重さのある道具の位置を変え重みが偏らないようにする
- 睡眠時間、横になり筋肉を休める時間は確保する
- 足裏、ふくらはぎ、太ももはよくほぐしておく
- 肉体労働では、常に筋肉が疲労しているものと思い、定期的に筋肉をほぐすようにケアをする