アルコールの分解スピードの考え方・計算法
多くの人が気になるのが、アルコールと運転の関係でしょう。酒気帯びのボーダーになるのは、アルコール血中濃度「0.3mg/mL」以上の場合。呼気中0.15mg/Lのアルコール検出で、血中濃度0.3mg/mLの酒気帯び運転とみなされます。体重当たりのアルコールの溶け込む量はおおよそ0.5L/kgから0.6L/kg。アルコールは脂肪組織には溶けないと計算するので、女性の場合は体脂肪が多い分、係数は小さくなります。体重70kgの人の場合、アルコールが溶けるのは、35Lという計算になります。また、アルコールの比重は約0.8なので、350mLの缶ビールのアルコール度数を5%とすると、含まれるアルコールの重さは14g。アルコールがまったく分解されていない時点での血中アルコール濃度は、14g/35L=0.4mg/mLなので、どんなにお酒に強い人でも缶ビールを飲んだ後はしばらく「酒気帯び運転」になってしまうのです。
ここで、冒頭に書いたアルコールの分解スピードについて考えてみましょう。アルコールの分解スピードを「0.1g/kg/時間」とした場合、70kgの人が1時間に分解できるのは7g。上の計算に当てはめると、缶ビール1缶のアルコールを全て分解するには2時間かかることになります。
午前様は翌朝も「酒気帯び」になる危険性
いわゆる飲み会で二次会や三次会に行った場合、実際の計算はかなり複雑になります。夜7時からの飲み会に出て、翌朝9時に運転できる飲酒量はどれくらいでしょうか?
例えば飲み会の1次会が夜9時に終わった場合、朝9時まで12時間あります。体重70kgの場合、缶ビール1缶分の分解に2時間かかるので、飲み会で缶ビール6本分を飲んでいても、翌朝の運転には通常響かないことになります。女性で体重50kgで計算すると、缶ビール5缶を飲んでも翌朝はまだ酒気帯び状態という計算となります。
さらに、アルコールの度数が強い日本酒の場合は15度(15%)で計算すると、
1合(180mL)を分解するのに約3時間必要です。ワインの場合は0.5本で約6時間必要です。該算で日本酒二合とビール大瓶、日本酒だけで4合、ワインの場合は1本あけると、分解に12時間必要な計算となります。いわゆるハシゴ酒をした場合は、翌日の運転にも注意が必要なのです。お酒に強いと自信がある人も過信は禁物。アルコールの分解の仕組みを知って、飲む量もしっかり自己管理するようにしましょう。