健康を損なうタバコの害・リスク
「タバコが健康を損なう」ということは、タバコのパッケージ自体にも大きく書かれていますし、喫煙者でもご存知ない方はいらっしゃらないのではないかと思います。肺がんだけでなく、食道がん、胃がんや大腸がん、膀胱がんなど多くのがんリスクを上げることもよく知られていますし、肺気腫やEDなど様々な病気の原因になりうることも明らかにされています。
また、2018年に成立した改正健康増進法が2020年の東京オリンピックまでに施行されるので、職場を含めて公共の場所はほとんどが禁煙になり、タバコの値段が段階的に上がっていくことも予定されています。
こういった状況の中、喫煙という行為そのものが極めて理不尽なものになってしまっていることは、多くの喫煙者が気づいておられることだと思います。しかし健康に悪いとよくよく分かっているつもりでも、また一本手が伸びてしまう……。これは、一体、なぜなのでしょうか?
喫煙習慣は「ニコチン依存症」という病気が原因である
体への影響も、社会通念上も、経済的負担を考えても、止めた方がよいと思っている。しかし、止められない。この状態は実は「依存症」と呼ばれる状態です。そして、喫煙の場合に依存しているものは、ニコチンという薬物です。すなわち、喫煙行動はニコチン依存症によるものだと考えられます。ニコチンは、脳内での快感や達成感を感じるドーパミンを放出させ、依存症を引き起こします。血液中のニコチン濃度が下がってくると禁断症状が出現し、タバコがほしくなってしまいます。これは、気持ちや精神的な問題というよりもきわめて生理的・薬理的な減少です。よって、理性ではコントロールできずに喫煙を続けてしまうのです。
禁煙を成功させるために……タバコを止める3つの方法
タバコを止める方法は様々ですが、自分自身の力で止める、薬局で相談する、医療機関で相談するという3つの方法に分けることができます。1. 自分自身の力で禁煙する
ニコチンへの依存度が低い場合には、自分自身で止めることも難しくはありません。手軽に手に入る禁煙グッズもきっかけとしながら挑戦してみましょう。
2. 薬局で相談する
ニコチンへの依存度が高いかどうかは、起床後から1本目のタバコまでの時間がどの程度かで推測することができます。朝起きてまず一服という方は、ニコチンへの依存度が高い傾向と言えます。そのような場合には、ニコチン依存症として治療を考えることが重要ですが、薬局ではニコチンパッチを購入することが可能です。薬剤師さんに相談しつつ、しっかりした禁煙にトライしてみてください。
3. 医療機関・禁煙外来で相談する
禁煙の決め手は医療機関の禁煙外来を受診することです。「薬局のニコチンパッチは試したけどダメだった」「病気のために絶対に禁煙しなさいと言われているけれど自信がない」という方は、禁煙外来を受診されることをおすすめします。いまはニコチンパッチだけでなく、より効果的な飲み薬も日本で使用できるようになっています。最近では、自由診療になりますが、オンライン診療で禁煙治療が受けられるようになってきています。
「自分には禁煙は無理だ」と思っておられる方も、もう一度、挑戦してみてください。禁煙達成までには、数回の失敗が必要な方は決して少なくありませんから。