会社だけなく、身近なパワハラにはどんなものがありますか?
家庭で起こるパワハラは、「DV」(ドメスティック・バイオレンス)といいます。学校では「いじめ」に当たるでしょうね。これらも概念が確立され、法的にも対策が整備されてきています。
最近は、「アカハラ」といい、院生などが被害に遭うことがあるそうです。
アカハラというのは、またユニークな言葉ですね。どんなものなのでしょうか?
アカハラとはアカデミック・ハラスメントの略で、教授など大学内での権威者によるいやがらせのことです。大学では教授の権威や権限は絶大ですので、人間関係のこじれなどから学生、主に院生や研究者に対して権力を利用していやがらせをすることが問題になってきています。
とくに最近では大学院が大規模化しているため、研究者を志向する学生に対して、指導する教授のほうは単に通過していく者として真剣に考えていないこともしばしばあるようです。
このような背景もあり、修士を終えて博士課程まで進学しながら、「もともと君は向いていないよ」とか、「指導しようがない」と言われて、学生側が憤然とする出来事もあります。実際に訴訟している例も一部にはあるようです。
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こうしたパワハラは、本人が自覚していない場合が多い、と語る永井さん。実際、パワハラをしている人のなかには、 「私は口の悪い人間だから」「毒舌が私の特徴」などと言う人も多いかもしれません。 しかし、ハラスメントは受け手がどう感じたかが重要であるため、「悪気はなかった」「激励のつもりで・・・」などと主張しても、受け手にとっていやがらせととられれば、問題になる可能性は大いにあります。
権威のある立場の人の言葉や態度は、使い方によっては“凶器”にもなるのです。ちょっとした言葉が、のちのち大問題とならないよう、エチケットを考えて行動する必要がありそうです。
永井隆雄さん 1963年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。日本総研、朝日監査法人等を経て、現在はJEXS組織戦略研究所所属。職業適性試験の開発などの従事。産業・組織心理学会会員。ASTD及びSHRMの会員。著書に『優秀な部下が辞表を持ってきた時』、『人事コンサルタントが書いた転職心理作戦』など多数。HRMに関する海外事情にも詳しい。 |
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→JEXS組織戦略研究所