ストレス/年代別・世代間のストレス

「30’sクライシス」~今30代が悩む理由(1)

「今、30代の心が一番危ない!」統計を交えて、その実態を報告します。さらに、「働く30代」が抱えるストレスについてガイドが語ります。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

30代は「心の危機」が最多!?

今や、30代のメンタルは深刻な危機
今や、30代のメンタルは深刻な危機
日本は世界屈指の「自殺大国」ですが、近年の警察庁の「自殺統計」では30代の自殺が目立っています。

30代の心の危機は、他の統計でも顕著です。「いのちの電話」の年間相談件数は、例年30代がトップ。(財)社会経済生産性本部・メンタルヘルス研究所の調査でも、企業で働く心の病は30代が例年トップで、しかも伸び率が著しいという結果です。


「ミドルエイジ・クライシス」の若年化!?

過重労働とリーダー職の重責が、30代を苦しめている
過重労働とリーダー職の重責が、30代を苦しめている
警視庁の2007年統計では、勤務問題の理由で自殺した人のうち、「仕事疲れ」が最も多い理由として挙がっています。

2007年の「労働力調査」では、週49時間以上働いている世代は35~44歳が最多。さらに、2007年の精神障害による労災認定件数(過労自殺含む)は過去最多で、なかでも、30代は4割も占めています。

こうした背景には、近年の人材空洞化が影響して過重な労働負担がかかり、30代正社員は現場の実質的なリーダーとしての重責を担わされやすいという事情があるでしょう。しかも、近年入社する若年層は非正規社員が多いことから、仕事の質の違いによって負担を軽減できないことも現実です。

このような「板挟み世代」特有の心の負担は、いわゆる「ミドルエイジ・クライシス」によく見られ、40代に多い現象でした。しかし、昨今の雇用事情の変化によって、ミドルエイジ・クライシスの若年化が起きてしまっていると考えられます。まして、人生経験が少なく、私生活の基盤も安定していない30代にとっては、これは大きなストレスです。

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