社員のメンタルヘルス不全を
防ぐための3つのヒント
社員の心と体の変化に関心を持つこと。自殺防止はここから始まる |
上司には、「パワハラ」と受け止められるような話し方や態度、仕事の与え方をしていないか、客観的に監査する必要もあります。
また、メンタルヘルスの推進を担当する産業医や産業保健スタッフに相談したり、また社内にメンタルヘルスを担当する機能がない場合には、地域の産業保健センターなど社会資源を活用して対処の相談をすることも大切です。さらに、解決への一つのヒントとして次のようなことを参考にされるとよいと思います。
【その1】「朝」の調子に注目する
たとえば、うつ傾向のある人の場合、たいてい「朝」に不調が現れ、夕方頃には調子が回復します。これはうつ特有の気分の「日内変動」によるものです。そのため、夕方に元気が出ても、翌朝必ず調子が悪くなる場合には、メンタルヘルス不全のリスクが高いと考えた方がよいでしょう。毎朝の調子に次のような変化が見られ始めたら、要注意です。
・遅刻や始業ギリギリに出社することが増えた
・なんとなく元気がない
・瞼がはれぼったい。眠そうな顔をしている
・化粧をしなくなった(女性社員)
・服装がパリッとしていない
・ため息をよくついている
・挨拶時に目を合わせない、挨拶に元気がない
・笑顔がなくなった
【その2】「傾聴」して悩みを話してもらう
上のような朝の不調が目立ってきた部下には、「最近、ちょっと元気がないね。何があったか話してくれない?」「最近何か変わったことがあったのかな? 前のあなたじゃないみたい」と声を掛けてみましょう。
上司と部下との信頼関係が築けていないと、たいていは「大丈夫です。何でもありません」とかわすでしょう。しかし、このときに安心せず、もう少し熱意を持って突っ込んで聞くのが大切です。
「君はこの職場には大切な存在なんだから、いつもの元気を取り戻してほしい。そのために力になりたい」
「話して楽になることがあるなら、どんな小さなことでも話してほしい」
「もちろん、そのことで悪い立場にはしない」
とその人が大切な存在であることを述べ、自分は絶対的な味方であることを表明しましょう。
そして、相手が話してくれたときには、遮らずにじっと「傾聴」することが信頼関係を深めるためにも大切です。
【その3】仕事でも1人にさせない配慮を
上のような不調が見られた社員は、仕事の能率が落ちても、しばらく「見守る」ことが必要です。そして、不調が続くようならすぐに産業医や産業保健スタッフに面接させ、なければ近所の医師などを受診させることが大切です。
そして、仕事の負担を少なくして残業させないようにすること。仕事量を減らし、信頼する他の社員と組んで行う仕事を増やしていくといいでしょう。
その社員には、事前に事情を話してフォローするように打ち合わせておき、様子を細かく報告してもらうことが大切です。